2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of rare-earth based trivial- and topological-insulators toward innovative optical-devices
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17K05035
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 二郎 福岡工業大学, 工学部, 教授 (90346528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光誘起近藤効果 / 電気二重層トランジスタ / 金属有機化合物分解法 / 希土類酸化物 / 近藤絶縁体 |
Outline of Annual Research Achievements |
革新的な光デバイス提案の礎を築くために、電気二重層トランジスタを用いた光誘起近藤効果の普遍性研究と、工学応用が容易な光誘起近藤効果や近藤絶縁体の振舞いを示す希土類酸化物の探索を目的とした。 今年度は、スピンコータと真空蒸着装置を導入し、電気二重層トランジスタを作製できる環境を立ち上げた。透明基板上にスピンコータを用いて金属有機化合物分解法によりCeO2やLaMnO3薄膜を成膜した。真空蒸着装置を使い電気二重層トランジスタを作製し、IV特性測定を行った。その結果、CeO2ではイオン液体のIV特性が見られた。LaMnO3ではゲート電圧を-2V印可したときIV曲線の傾きが変化し、抵抗が小さくなっていた。そのためホールがドープされている可能性がある。また、デバイスや測定回路の改良点を探っていたため、電気抵抗率の温度依存性は測定していない。 希土類酸化物の探索に関しては、ZrCuSiAs型に着目し、Ce(TM)GeO(TM=Fe,Co,Ni,Cu)、CeFeXO(X=Al,Si,Ga,B,C)を固相反応法により合成した。粉末X線回折測定で構造評価を行ったところ、ほとんど全ての物質においてCe2O3が主相となることがわかった。また、Ba2Mn3As2O2型Ce酸化物の開発も行い、Ce2(TM)3Ge2O2(TM=Mn,Fe,Co,Ni,Cu)、Ce2(TM)3Sn2O2(TM=Mn,Fe,Co,Ni,Cu)を固相反応法により合成し、粉末X線回折測定で構造評価を行った。これもほとんどすべての物質においてCe2O3が主相となることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は(1)電気二重層トランジスタの作製環境立ち上げとテストデバイスの製作 (2)光誘起近藤効果や近藤絶縁体の振る舞いを示す希土類酸化物の開発 を目的とした。(1)に関してはCeO2やLaMnO3薄膜を用いた電気二重層トランジスタを製作し、LaMnO3に関してはキャリアドーピングの兆候を得ることができた。以上からおおむね順調に進展していると判断した。また、(2)に関しては、希土類酸化物の開発には至らなかったが、ZrCuSiAs型やBa2Mn3As2O2型といった当初考えていた物質群を探索できたので、この点でおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 光誘起近藤効果の検証 トランジスタの作製や測定系のノウハウをさらに蓄積するため、論文報告に従い、SrTiO3基板にトランジスタを作製して室温でのキャリアドーピングを追試する。それができれば、電気二重層トランジスタを用いてCeCrO3, CeMnO3などの半導体ぺロフスカイト酸化物薄膜(金属有機化合物分解法で合成可能であることがわかっている)において、電気抵抗率ρを測定し光誘起近藤効果の発現可能性を調べる。ゲート電圧を大きくしていくと、ρはexp(Eg/2kBT)(Eg:エネルギーギャップ、kB:ボルツマン定数、T:温度)に比例した半導体的振舞いが続くものの、キャリアが電界誘起されエネルギーギャップが小さくなると予想される。その後、光照射をガラス基板裏面より行い、近藤効果に特徴的な-lnTに比例した抵抗率に変化するか確認する。電気二重層トランジスタによる光誘起近藤効果検証の進捗が遅れる場合、プラズマ窒化による希土類酸化物薄膜へのキャリアドーピングの可能性も探る。希土類酸化物薄膜のプラズマ窒化処理を行い、酸素の一部を窒素に置換することでキャリアドーピングできるか調べる。もしできれば、ある程度キャリアドーピングを施したうえで、光誘起近藤効果の検証をρの測定により行う。 2. 新物質開発 Zintl相へのキャリアドーピングという独自の方針で開発を行う。近藤絶縁体にはCe,Sm,Ybの価数揺動状態が望まれる。例えば、Yb系Zintl相はYb2+となるが、そこに電子ドーピングを施すとYb2+とYb3+の価数揺動状態を引き起こすことが可能である。具体的には、MOD材料に適用可能な元素で構成されるYb9Zn4Bi9でBiの一部をOに置換した物質などを合成する。
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Research Products
(1 results)