2018 Fiscal Year Research-status Report
アモノサーマル法による窒化物結晶作製プロセスに関わる熱力学性質の解明
Project/Area Number |
17K05038
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨田 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30431472)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アモノサーマル / 熱力学性質 / 状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超臨界アンモニア+ハロゲン化アンモニウム混合系の高温高圧下におけるPVT性質を精密測定し、アモノサーマル法による窒化ガリウム(GaN)単結晶成長プロセスシミュレーション向けの状態方程式の開発および熱力学性質を明らかにすることを目的としている。本年度は、アンモニア+ヨウ化アンモニウム混合系の高温領域におけるアンモニア+ハロゲン化アンモニウム混合系のPVT測定を行った。はじめに、昨年度作製したPVT測定装置の測定精度を確認するためにアンモニアの純成分のPVTを測定し、測定における不確かさの範囲内でアメリカ国立標準技術研究所(NIST)が作成する熱物性データベースソフトウェアREFPROP 10による計算値と一致することを確認した。 アンモニア+ヨウ化アンモニウム混合系のPVTを温度300-600℃の範囲で測定した。低温領域のPVT測定の結果と同様、アンモニア純成分の場合と比較して低い圧力を示した。すなわち、アモノサーマル法における結晶成長シミュレーションを高精度に行うためには、アンモニア+鉱化剤混合系の物性値に基づく解析が必要であることが示唆された。低温領域の測定データで作成した状態方程式を用いて高温領域のPVTを計算した結果と実測値を比較したところ、温度上昇に伴い偏差が大きくなった。また、アンモニア+臭化アンモニウム系のPVT測定も一部行った。これまでのところ、アンモニア+ヨウ化アンモニウム混合系同様、アンモニア純成分と比較して低い圧力を示している。 液体アンモニアの熱伝導率について昨年度に引き続き検討した。REFPROP は本年度にバージョンアップし、アンモニアの熱伝導率に採用されている相関式が変更された。これにより、2013年にShamsetdinovらにより非定常細線加熱法で測定されたデータを加えて作成した相関式が採用されたが、それと比較しても5.8%低い値が得られている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で掲げた本年度の計画を達成しており、2019年度の計画であるアンモニア+臭化アンモニウム系のPVT測定データも一部得られている。このため、おおむね順調に進んでいると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29, 30年度に得られたアンモニア+ヨウ化アンモニウム系の低温領域から高温領域に渡るPVTデータを使って状態方程式の作成を進める。そして、アンモニア+臭化アンモニウム系の高温領域のPVT測定を引き続き行い、アンモニア+ヨウ化アンモニウム系の測定データを用いて作成した状態方程式の適応性について確認する。液体アンモニアの熱伝導率についても、Shamsetdinovらが非定常細線加熱法により測定したデータとの比較検討を進め、測定データの妥当性について検討する。
|