2017 Fiscal Year Research-status Report
4H-SiC非極性面の欠陥と表面形状が酸化膜へ及ぼす影響の検討
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17K05049
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
石川 由加里 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (60416196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 義弘 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (70466291)
姚 永昭 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (80523935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 4H-SiC / 基底面転位 / 積層欠陥 / 部分転位 / CL / EBIC / TEM / 拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiCバイポーラデバイスの信頼性を低下させる基底面転位の拡張挙動を初めて4H-SiC (11-20)から観察し、その拡張メカニズムを議論した。 まず、4H-SiC(11-20)A面上に軽くNドープした100um厚のエピタキシャル層表面に露出した基底面転位を電子線で励起し転位が拡張してショックレータイプの積層欠陥を形成することをCL、EBIC、TEMを用いて証明した。次に、固定した電子線を直接、基底面転位や積層欠陥に照射する直接励起だけではなく、基底面転位や積層欠陥の外に固定した電子線を照射しそこで発生した電子‐正孔対の拡散による間接励起でも積層欠陥が拡張することを見出した。積層欠陥の拡張速度は電子線の強度に比例した。また、積層欠陥の縁にあるSi-core部分転位のみを間接励起した場合が最も拡張が速く、積層欠陥とSi-core部分転位を同時に間接励起した場合や積層欠陥の直接励起は遅いことがわかった。積層欠陥直接励起では電子、正孔の再結合が速くSi-core部分転位に到達する割合が低い。また、積層欠陥とSi-core部分転位の間接励起では積層欠陥にキャリアがトラップされると積層欠陥のエネルギーシフトが生じSi-core部分転位に到達する電子―正孔対が減少するためと推測した。さらに、不動転位とされてきたC-core部分転位もの電子‐正孔対の供給量が閾値を超えると可動転位になることを見出した。C-core部分転位をピン止めしている不純物原子の結合が、電子‐正孔対の供給によって切れ可動転位になると推測した。ピン止め不純物原子としてNを想定した。 (1-100)M面における基底面転位の拡張挙動の観察・検討については平成30年度に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度はA,M面の転位拡張の有無の確認を計画としたが、実際はA面については30年度実施予定の転位拡張速度、割合、形状等の検討まで実施した。一方、M面については30年度に実施することにしたのでプラスマイナスゼロとなるので上記判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
4H-SiCの基底面転位を極性面から観察した報告は非常に多く十分な知見の蓄積がされてきたが、非極性面における基底面転位の拡張挙動に関する知見は本研究がほぼ初めてと言って良く当初予測より注目を集め、重要性を認識した。基底面転位の挙動解明後は速やかに酸化膜への影響探索へ移行する予定だったが、平成30年度は非極性面における転位拡張挙動の観察・検討に注力する。
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Causes of Carryover |
初年度購入予定のSiC結晶を無償で手に入れることができたため、予定より使用額が低くなった。次年度は、基底面転位の分布を大面積非破壊で観察するための、放射光を使用した複数回・複数人の実験費用、旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)