2017 Fiscal Year Research-status Report
不均一系有機薄膜のデバイス駆動状態における局所価電子状態の2次元分布の観測
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17K05050
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
奥平 幸司 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50202023)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 分子配向 / イオン化ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機トランジスタにおいて,実デバイスで集積化を考えた時必須となる金属と絶縁層が混在する複合基板を用い,実デバイスの駆動状態での,イオン化ポテンシャル2次元分布を調べることを目的とする。実駆動状態で光電子放出顕微鏡(PEEM)像からイオン化ポテンシャルの2次元分布解析するための、予備的な各種測定を行った。具体的には、有機半導体として有機薄膜トランジスタ(OTFT)の半導体層として用いた場合、高い移動度を示すDNTT分子を用いた。またボトムタイプ(OTFT)の実デバイス構造(基板として、絶縁層SiO2に電極である銅が配線されていること)を考慮して、SiO2および銅を選定した。PEEMで2次元分布が得られるイオン化ポテンシャルは、使用する有機半導体の電子構造だけでなく、その(分子配向などの)膜構造にも依存する。そこで、実デバイス作成時と同じ表面処理をしたSiO2および(酸化)銅上のDNTT分子薄膜の軟x線吸収スペクトルや、紫外光電子スペクトルを測定し、その分子配向、およびイオン化ポテンシャルを明らかにした。その結果、SiO2上では、DNTT分子はほぼ垂直に分子長軸方向を立てて配向していること、また(酸化)銅上では、約10°から15°傾いて配向していることを明らかにした。ここでは、単に分子の傾き角だけでなく、分子の回転角まで求める手法を見出した。さらに,有機薄膜トランジスタで、移動度向上のために使用される自己組織化単分子(SAM)の代用として、SiO2上および酸化銅上に分子接合材を挿入層として用いた場合のDNTTの分子配向及びイオン化ポテンシャルの変化を明らかにした。この得られたDNTTのイオン化ポテンシャルから、PEEM測定のための光源としてD2ランプ光源が適当であることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機トランジスタにおいて,実デバイスで集積化を考えた時必須となる金属と絶縁層が混在する複合基板を用い,実デバイスの駆動状態での,イオン化ポテンシャル2次元分布を調べることを目的とする。実際に,ソース,ドレイン,ゲートに電圧を印可した駆動状態について測定を行うため、電子顕微鏡(PEEM)-測定用,試料部(サンプルホルダー)を作製し、電圧印加についてテストを行った。しかしながら、短絡、接触不良等で、十分な電圧印加ができなかった。 そこで、新たな試料ホルダーの設計を行っている、一方、実駆動状態でPEEM像からイオン化ポテンシャルの2次元分布解析するための、予備的な各種測定を行った。具体的には、有機半導体としては高い移動度を示すDNTT分子を用いた。また基板としては絶縁層SiO2に電極である銅が配線されていること実デバイス構造を考慮して、SiO2および銅を選定した。PEEMでその2次元分布が得られるイオン化ポテンシャルは、有機半導体の電子構造だけでなく、その(分子配向などの)膜構造にも依存する。そこで、実デバイス作成時と同じ表面処理をしたSiO2、酸化銅上のDNTT分子薄膜の軟x線吸収スペクトルや、紫外光電子スペクトルを測定し、その分子配向、およびイオン化ポテンシャルを明らかにした。さらにDNTTのイオン化ポテンシャルの分布を知るために必要な励起エネルギーを放出することができるD2ランプ光源を導入することで実デバイス構造を持つCu配線されたSiO2基板上に作製したDNTT薄膜のPEEM像の測定を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
有機トランジスタにおいて,実デバイスで集積化を考えた時必須となる金属と絶縁層が混在する複合基板を用い,実デバイスの駆動状態での,イオン化ポテンシャル2次元分布を調べることを目的としている。実際に,ソース,ドレイン,ゲートに電圧を印可した駆動状態について,測定を行うため、電子顕微鏡(PEEM)-測定用,試料部(サンプルホルダー)を作製し、電圧印加についてテストを行った。しかしながら、短絡、接触不良等で、十分な電圧印加ができなかった。 そこで、電極部の構成を見直し(具体的には、3極構造から2極構造への変更など)、絶縁性、動作の安定性向上を目指した新たな試料ホルダーの設計を行っている。この改良した試料部を用いて、これまで予備実験を行いイオン化ポテンシャルや分子配向を明らかにしてきたDNTT/SiO2+(酸化)銅混在基板の試料の、実駆動状況でのPEEM像からイオン化ポテンシャルの2次元分布像を得ることを目的とする。さらに基板に分子接合材や高誘電体層を導入したより高い移動度が期待される系で、電圧印加状態でのPEEM像の測定と、それに必要な予備実験(分子配向などを軟x線吸収分光で、イオン化ポテンシャルなどを紫外光電子分光で求める)も行う。
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Research Products
(2 results)