2019 Fiscal Year Annual Research Report
Strain Effects on Excitonic Photoluminescence in 2D Transition-Metal Dichalcogenides
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17K05051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 和人 東京大学, 物性研究所, 技術専門員 (20422438)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薄膜 / 歪み / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 励起子ホール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度、単層および複数層 MoS2/h-BN/PMMA 薄膜試料の作製を行った。まず開孔幅の異なるいくつかの角型開孔基板を用意し、ガラス基板上に PMMA をスピンコートし、その上に機械的剥離法によりテープ上に作製された h-BN 薄膜を転写した。さらに、機械的剥離法により MoS2 薄膜を転写し、最後にガラス基板から剥離し、開孔基板上に転写することにより、架橋化された MoS2/h-BN/PMMA 薄膜を作製した。 次に試料をフッ素系不活性液体中に沈め、基板を薄膜面に垂直に振動させることにより、面内に非一様な歪みが発生する様子を顕微鏡観察した。また、歪み制御法の実証実験として、箔歪みゲージを角型開孔基板に貼り付け、液体中に沈めたのち、振動源である圧電素子の入力信号と箔歪みゲージからの出力信号の比較を行った。その結果、1 Hzから50 Hzまでの周波数領域において、入力信号に極めてよく追随する箔歪みゲージからの信号を検出した。 顕微発光イメージング装置は、半導体レーザーを励起光とし、撮像素子である CMOS カメラ直前に励起光成分のみカットするノッチフィルターを挿入することにより、発光成分のみを観察できるよう、市販の顕微鏡システムを改良した。さらに、レーザー光の左右円偏光成分を変化・制御できる半波長液晶可変リターダを導入し、非一様歪みによるポテンシャル勾配に駆動された励起子が、左右円偏光成分に分離、拡散したのち再結合するいわゆる励起子ホール効果を観測するための装置を完成させた。 最後に、これらの装置を用い、歪みの度合いや励起光の円偏光成分の周期的な変化による発光イメージの位相検波的手法により、室温での励起子ホール効果の観測を試みた。しかしながら、現時点において、単層の MoS2 薄膜からの明確な発光を検出するには至らず、転写方法や材料を見直すなど検討中である。
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Research Products
(4 results)