2019 Fiscal Year Annual Research Report
Highly sensitive coherent spectroscopy in condensed matters by plasma photonics with IV elements
Project/Area Number |
17K05084
|
Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
松原 英一 旭川工業高等専門学校, 一般理数科, 准教授 (10421992)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 赤外分光 / テラヘルツ / 超高速分光 / 非線形光学 / コヒーレント分光 / マルチプレート圧縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
超広帯域コヒーレント赤外分光の信号雑音比を改善するために、光源である高強度極短光パルス発生過程のスループット(効率)と安定性向上を図った。方法としては、最近開発されたマルチプレート圧縮法を用いた。これは、自己位相変調を用いたパルス広帯域化のための媒質として用いている中空ファイバー中の希ガスの代わりに、石英などの透明な固体媒質を自己収束が起きにくいように100um程度の厚みまで薄くしたものを用いるものである。薄くすることによって自己位相変調も起きにくくなるが、枚数をかせぐことで自己収束を抑制しつつもパルス圧縮に必要なパルス広帯域化が得られることが報告されている。中空ファイバー圧縮法の場合、スループット(エネルギー効率)が30~40%であるのに対し、マルチプレート圧縮法ではスループットが80%以上得られると報告されている。また安定性の向上はレーザーのビーム位置の揺らぎによる出力光強度の変動の影響が少ないためである。 実際に、焦点距離3mのレンズで集光した高強度チタンサファイアレーザー増幅パルスを厚さ100umの合成石英基板5枚に入射し、反射率を最小にするための角度調整と、最大のパルス広帯域化を得るための位置の調整を行うことで、中空ファイバー圧縮の場合に匹敵する670-930nmの波長帯域にパルス広帯域化し、これをチャープミラーで位相補償することで、サブ20fs程度の時間幅にパルス圧縮することができた。このパルスを使って空気プラズマを誘起し、発生した超広帯域コヒーレント赤外パルスのスペクトルをMCT検出器付きの分光器で測定した。その結果、MCTの低周波側の観測限界である60THzから200THzに至る連続スペクトルを観測した。この観測帯域は、中空ファイバー圧縮法の場合に匹敵する。このように、初めてマルチプレート圧縮光パルスを用いた超広帯域コヒーレント赤外パルスの発生を実証した。
|
Research Products
(2 results)