2019 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of plasma irradiation on biochemical reactions
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17K05095
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗田 弘史 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70512177)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / プラズマ医療 / プラズマ生物応用 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、大気圧プラズマの生物・医療応用に向けた基礎研究として、プラズマ照射の生化学反応への影響を解析した。2019年度は、前年度に着手した細胞内生化学反応の解析に注力して研究を進めた。研究代表者は以前よりプラズマ照射による核酸損傷に関する研究を進めており、細胞内DNA修復酵素の活性化を解析対象とした。まず、ヒト肺がん由来培養細胞株であるA549細胞へのプラズマ照射によって、DNA切断だけでなくアポトーシス誘導に関与しうる修飾塩基のひとつである8-オキソグアニン (8-oxoG)がゲノムDNA上に生成されることを明らかにした。このとき、DNA切断を誘発するプラズマ照射よりも低強度の照射で8-oxoGが生じることも明らかになった。さらに、DNA損傷が生じるプラズマ照射であれば細胞生存率に影響を及ぼすと考え、プラズマ照射後の細胞を24時間培養したところ、ゲノムDNAに鎖切断や塩基修飾が生じるプラズマ照射条件であっても90%に近い細胞生存率を示した。このことから、ゲノム安定性維持のためにDNA修復酵素が機能していると考え、8-oxoGを認識・除去するDNA修復酵素の活性化を解析した。本研究では、単鎖DNAの両末端が蛍光色素と消光物質でそれぞれ修飾されており、かつ2重らせん構造によってこれらが近接するように設計されているmolecular beacon (MB)を用いて解析した。本研究で用いたMBは、ステム部位のグアニンが8-oxoGに置換されており、8-oxoG修復酵素と反応するとMBにDNA切断が生じ、近接していた修飾物質が分離し、8-oxoG修復酵素の活性化を反映した蛍光増大が生じる。プラズマ照射前の細胞にMBを人為的に導入し、プラズマ照射から24時間後の細胞の蛍光強度を測定したところ、プラズマ未照射の細胞群と比較して、プラズマ照射した細胞群では蛍光強度が有意に増大し、修復酵素が活性化していることが示唆された。
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Research Products
(11 results)