2018 Fiscal Year Research-status Report
Control of the reactive species production in liquid by using the plasma-jet turbulence flow and the selective killing of cancer stem cells by plasma activated liquid
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17K05096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 儀一郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (90422435)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラズマ医療 / 非平衡プラズマジェット / アミノ酸 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のがん治療において増殖能が高く,抗がん剤や放射線に強い抵抗性を示す,がん幹細胞の死滅は非常に困難であり,新たな治療法の探索が急務となっている.このような課題に対し,本研究では,プラズマ照射細胞培養液などのプラズマ処理溶液を投与することで,がん幹細胞の選択的死滅現象の発現を実現することを目標としている.昨年度は,プラズマ照射により,メチオニンなどの特定のアミノ酸の酸化・分解反応が促進されることを見出した.本年度は,この反応を促進する水溶液中で生成される活性酸素種の計測を行った.プラズマ照射時間にほぼ比例してH2O2,NO2-濃度が増大し,15分照射で約100 umol/lのH2O2濃度となった.しかしながら100 umol/l程度のH2O2試薬添加では,メチオニンの酸化・分解反応は観測されなかった.そこで短寿命でさらに強い酸化力を有するOHラジカルとONOO-の濃度を測定したところ,同様にプラズマ照射時間にほぼ比例して増大した.今回,プラズマジェット照射により生成される短寿命活性酸素種が,アミノ酸の酸化・分解反応を促進することが示唆された.また,プラズマ照射メチオニン水溶液をがん細胞に投与したところ,がん細胞生存率が大きく低下し,プラズマ照射アミノ酸水溶液が,がん細胞殺傷効果を示すことを新たに見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,プラズマ照射細胞培養液などのプラズマ処理溶液を投与することで,がん幹細胞の選択的死滅現象の発現を実現することを目標としている.本年度は,プラズマ照射により,溶液中に短寿命で強い酸化力を有する活性酸素種が生成され,これらがアミノ酸の酸化・分解を促進することを示唆する結果を得た.また,プラズマジェットを照射したメチオニン水溶液が,がん細胞殺傷効果を示すことを新たに見出した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はプラズマ照射メチオニン水溶液が,がん細胞殺傷効果を示すことを見出した.来年度は他のアミノ酸についても同様にがん細胞投与実験を行う.さらに,プラズマ照射アミノ酸水溶液を増殖能の高いがん幹細胞に投与し,その幹細胞殺傷効果についても検証する.
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Causes of Carryover |
本年度(2018年度)は,溶液中活性酸素種検出用の化学プローブ試薬購入のために予算を確保していたが,当初の予想より順調に計測が遂行できたため,次年度使用額が発生した.来年度(2019年度)の使用計画としては,今年度(2018年度)の予算を用いて,プラズマジェット装置の改良を行うとともに,プラズマ照射溶液のがん細胞殺傷効果に関する実験を行う.
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Research Products
(9 results)