2018 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of an AuNPs@CNT biosensor on a chip by an atmospheric-pressure microplasma
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17K05101
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
吉木 宏之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00300525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラズマ加工 / ナノ材料 / 大気圧μプラズマ / 金ナノ粒子 / CNTs / シュリーレン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高い表面積/体積比と優れた電気伝導性を有するカーボンナノチューブ(CNTs)の表面に、優れた触媒能を持つ金ナノ粒子(AuNPs)を担持したAuNPs@CNTのオンサイト合成とグルコースセンサー等のバイオセンサーへの応用を目的とする。H29年度はφ0.9mmの金属パイプ電極にRF(13.56 MHz)電力を印加して生成する大気圧Heマイクロプラズマ(APHeμP)を170μLの塩化金酸(HAuCl4)に1分照射する事で粒径10 nm以下のAuNPsの合成に成功した。 H30年度は、(1)AuNPs粒径成長がプラズマ照射後に進行する原因の特定、(2)CNTs分散剤としてカテキン溶液を用いたAuNPs@CNTの合成、(3)シュリーレン法を用いた細径ノズルからのプラズマ噴流の流れ解析と溶液内対流観察を行なった。概ね以下のことが明らかになった。 (1)プラズマ照射後の溶液にHAuCl4を滴下してもAuNPsの合成は起らなかった。この結果から溶液中に生成されるH2O2等の物質は金イオンの還元に寄与せず、プラズマの電子や水素ラジカルによる還元で生成されたAuNPsが核となり、プラズマ照射後のHAuCl4溶液内で粒径が成長し、かつ粒子同士の凝集が起こることが分かった。 (2)カテキン分散CNTsにHAuCl4を滴下してAPHeμP照射する事で、CNTsがマトリックス(保護剤)となり粒径分布が20-50 nmにピークを有するAuNPs@CNTが合成された。 (3)φ0.9mm細径ノズルから噴射されるプラズマ自由噴流は、ガス流量、RF電力の増加で層流から乱流へと遷移した。また、衝突噴流ではRF電力の増加で基板近傍の乱れが消失することを見出した。溶液表面では周辺部に向かう対流の発生が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の成果が得られた。 (1)大気圧プラズマ照射によるAuNPs合成は、プラズマ照射による電子、または水素ラジカルによるAuイオンの還元で核生成が起ることによる。 (2)単層CNTsが緑茶に分散する研究報告(G. Nakamura 他, Chem. Lett. 36 (2007) p.1140)に基づき、CNTsをカテキン溶液に分散させHAuCl4を滴下したサンプル液にAPHeμP照射5分間行うことで、粒径分布が20-50 nmにピークを有するAuNPs@CNTの合成に成功した。 (3)シュリーレン法を用いてAuNPs@CNT合成で使用するAPHeμP噴流の流れ解析を行うことで、最適なガス流量およびプラズマ投入RF電力を明らかにした。 本研究テーマおよびその周辺の研究に関して、査読付き論文:1報、国際会議を含む学会発表:6件の成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)カテキンを用いず、大気圧プラズマによりCNTs表面にカルボキシル基やアミノ基を導入する事でAuNPs@CNTの合成を実現する。 (2)Ni薄膜を数十nmコーティングしたSi基板にCH4/H2あるいはC2H2/H2ガスのAPμPを照射してCNTsの局所成長を行なう。この時、Niナノ粒子径、基板温度、DC電界、局所的強磁場印加等の外部パラメータが、CNTsの単層/多層構造や配向成長に及ぼす影響を明らかにする。 (3)Si基板の局所領域に固定したCNTsに微量(100-200μL)のHAuCl4溶液を滴下して、APHeμPを短時間(< 1分)照射することでAuNPs@CNTのSiオンサイト合成を実現する。さらに合成したAuNPs@CNTを作用電極に用いた酸化・還元測定回路を構成して、サイクリックボルタンメトリーによるCV波形の測定からAuNPs@CNTの電気化学特性の評価を行なう。
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Causes of Carryover |
研究遂行の為にサンプル基板表面の光学観察用の金属顕微鏡(オリンパス BX53M/BXFM)が必要となり、2019年度配分額の一部と合わせて年度初めに購入を計画している。
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