2018 Fiscal Year Research-status Report
Upgrading sputtering film deposition by controlling of powder target
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17K05102
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
大島 多美子 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (00370049)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 粉体ターゲット / スパッタリング / 混合粉体 / 透明導電薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、粉体をそのままターゲットとして用いたスパッタリング法において、固体ターゲットの作製が困難な低融点有機材料や多元素複合材料を安価で容易に作製する手法の確立を目的としている。平成30年度は、ZnOにAl2O3またはGa2O3を混合させた混合粉体を用いて、透明導電薄膜の作製を行った。また、移動磁界型のカソードを導入しマグネットを10rpmで回転しながら実験を行った。 まず、混合前のZnO、Al2O3、Ga2O3粉体について、RF電力、ターゲット-基板間距離、Arガス圧力の条件を変化させて薄膜の作製を行った結果、それぞれ100W、50mm、0.3Paの条件において安定して膜が堆積することがわかった。また、粉体の種類によって堆積速度に差が見られ、Ga2O3が3.3nm/min、ZnOが2.3nm/min、Al2O3が1.6nm/minとなった。基板加熱による結晶性の評価では、ZnOは基板温度の上昇に伴いZnO(002)ピーク強度が増大し結晶性の向上が確認されたが、Al2O3とGa2O3では基板温度が200℃から400℃に上昇すると、それぞれAl2O3からAl、Ga2O3からGaへのピークシフトが見られた。 次に、ZnOとAl2O3、ZnOとGa2O3を50:50wt%の混合粉体を用いて、上記のスパッタリング条件下で基板温度を変化させてAZO(AlドープZnO)とGZO(GaドープZnO)薄膜の作製を行った。その結果、基板温度200℃で作製したAZO薄膜において抵抗率が7.3×10^-3Ωcmの導電性を確認することができた。 以上のことから、異なる種類の粉体を混合した混合粉体による成膜では、各粉体のスパッタリング率や基板加熱による堆積膜の構造変化等を考慮し、混合比やスパッタリング条件等を最適化することにより目的の組成比を有する多元素複合材料薄膜の作製が可能であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、まず、移動磁界型カソードを導入しマグネットの回転速度を変化させることで、粉体ターゲット表面の温度上昇を防ぐ実験を行った。次に、混合する前の粉体を用いて薄膜の作製とその評価を行い、粉体の種類によって異なる成膜プロセスが生じることを明らかとした。また、異なる種類の粉体を混合して作製した混合粉体を用いて透明導電薄膜の作製を行い、導電性を有するAZO透明導電薄膜の作製が可能となった。よって、おおむね研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、平成30年度に引き続き、異なる種類の粉体を混合させた混合粉体を用いて、多元素複合薄膜や組成傾斜膜の作製を行い、混合粉体の混合比と堆積膜の組成比について相関を明らかにする。また、粉体ターゲットの圧縮や光照射など、ターゲットをコントロールすることで堆積膜に与える効果や影響を調査し、粉体スパッタリングプロセスの新しいアプローチを検証する。
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Causes of Carryover |
一万数千円程度の少額であり、次年度、新たな粉体ターゲットの購入に充てることで、より効果的な予算の執行ができると考えたため。
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Research Products
(15 results)