2017 Fiscal Year Research-status Report
シリコンナノ粒子太陽電池の粒径制御による3次元周期配列構造の構築と高セル性能化
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17K05107
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
佐藤 慶介 東京電機大学, 工学部, 准教授 (70366384)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シリコンナノ粒子 / ボロンドーピング / リンドーピング / 粒径制御 / 化学的合成法 / 複合材料・物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、シリコンナノ粒子太陽電池の性能に直接影響するキャリア輸送効率の向上を図るために、不純物ドープしたシリコンナノ粒子の粒径制御技術の確立ならびにそのナノ粒子の基礎物性について調査した。本研究では、ボロンまたはリンの粉末および含有溶剤の形態の異なる不純物材料を使用した。ボロンドープシリコンナノ粒子はシリコン粉末とボロン粉末またはボロン含有溶剤を加熱処理し、その後加熱処理したシリコン粉末をフッ化水素酸/硝酸混合溶媒に入れ、安価かつ簡易な高速攪拌機による化学エッチング処理を行うことで生成した。生成したp型シリコンナノ粒子に対して分級処理し、粒子サイズを分析した結果、ボロン粉末を用いた場合では粒径が約7.3nmであったのに対して、ボロン含有溶剤を用いた場合では約1.2nmまで粒径を縮小させることに成功した。また、このシリコンナノ粒子内のボロンの状態を顕微ラマン分光法により分析したところ、シリコンフォノンピークのFanoブロードニングとボロン原子がシリコン原子と結合しているSi-B局在振動因子の信号が観測され、ボロン原子がシリコンナノ粒子内のシリコン置換位置に位置していることを示唆した。一方、リンドープシリコンナノ粒子は上記化学エッチング処理によりシリコンナノ粒子を生成し、その後シリコンナノ粒子とリン粉末またはリン含有溶剤を加熱処理することで生成した。生成したn型シリコンナノ粒子に対して分級処理し、粒子サイズを分析した結果、リン粉末を用いた場合では最小粒径が約1.1nmであったのに対して、リン含有溶剤を用いた場合では約5.7nmの粒径であることが示唆された。また、このシリコンナノ粒子内のリンの状態をX線光電子分光法により分析したところ、リン原子がシリコン原子と結合しているSi-P信号が観測され、リン原子がシリコンナノ粒子内のシリコン置換位置に位置していることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であったボロンまたはリンをドーピングしたシリコンナノ粒子の粒径制御に対して、シングルナノオーダーの粒径制御技術を確立することができた。また、ボロンドープしたp型またはリンドープしたn型シリコンナノ粒子の物性に関する知見も習得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の課題として、生成したp型またはn型シリコンナノ粒子の分級処理後において、シリコンナノ粒子以外に不純物材料が一部混在していた。この不純物材料は、太陽電池内のナノ粒子間のキャリア輸送において効率低下を引き起こす原因となる。そのため、次年度ではp型またはn型シリコンナノ粒子の分級処理における残留不純物材料の除去に対して超遠心機による条件選定を再検討し、p型またはn型シリコンナノ粒子のみを抽出する条件を見出す。次いで、シリコンナノ粒子を配列させるための下地シリコン基板のテンプレートを作製し、そのテンプレート上に粒径制御したp型またはn型シリコンナノ粒子を3次元的に配列させ、ナノ粒子の配列状態について分析する。この結果から、シリコン基板上へのp型またはn型シリコンナノ粒子の3次元周期配列制御技術を確立する。
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Research Products
(20 results)