2018 Fiscal Year Research-status Report
Precise determination of vacancy defect concentration for the redefinition of the kilogram
Project/Area Number |
17K05112
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
水島 茂喜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ付 (60358091)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電子スピン共鳴法 / シリコン結晶 / 原子空孔濃度 / キログラム / 精密計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量の単位であるキログラムをプランク定数などの基礎物理定数によって実現することを目指した研究が注目されている。その一つが直径約94 mmの28Si単結晶球体の体積、モル質量、格子定数、酸化膜の厚さ、不純物濃度、原子空孔濃度を精密に計測し、キログラムを実現する方法である。 研究代表者は、28Si単結晶中の原子空孔濃度の計測が、高精度なキログラムの実現において重要な役割を果たすと考えている。そこで、本研究では質量の単位を初めて基礎物理定数によって定義するために、電子スピン共鳴法を利用して、28Si単結晶中の原子空孔濃度を高精度で決定することを目指している。 2017年度には、28Si単結晶試料の作製と電子スピン共鳴法による測定を実施した。28Si単結晶試料の作製は、試料の精密な切り出し、鏡面研磨、精密洗浄で構成される。測定により、28Si単結晶中の各種の原子空孔濃度が1×10^12 cm^-3未満であることを見出した。結果として、これらの原子空孔による必要な質量欠損補正量は、1 kgの28Si単結晶球体に対して0.4 μg未満であると推定できた。 2018年度には、28Si単結晶中の原子空孔濃度の計測を更に高精度化するため、試料の作製方法の改良を試みた。計測により、原子空孔による必要な質量欠損補正量は、1 kgの28Si単結晶球体に対して0.2 μg未満であると推定された。本研究成果は、2018年7月にパリで開催された国際会議 2018 Conference on Precision Electromagnetic Measurements (CPEM 2018)で発表された。また、本研究成果を広く公表するため、研究論文を査読付き学術誌IEEE Transactions on Instrumentation and Measurementに投稿し、2018年11月に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28Si単結晶試料の作製と電子スピン共鳴法による測定を実施し、28Si単結晶中の原子空孔濃度を定量した。本研究成果は、当該分野の専門家が参集する国際会議 CPEM 2018で発表された。また、本研究成果をまとめた研究論文は、査読付き学術誌IEEE Transactions on Instrumentation and Measurementに受理された。 これらにより、2018年度に計画していた研究内容は実施されており、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
28Si単結晶中の原子空孔濃度を更に高精度に決定するため、浮遊帯溶融法によって成長させた円柱形単結晶の中心部と周辺部における原子空孔濃度の違い、試料を電子スピン共鳴法によって測定するの際の光照射方法の改良などを検討する。研究成果を国際会議 2020 Conference on Precision Electromagnetic Measurements (CPEM 2020)で発表するため、予稿を作成し、投稿する。
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