2022 Fiscal Year Annual Research Report
Precise determination of vacancy defect concentration for the redefinition of the kilogram
Project/Area Number |
17K05112
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
水島 茂喜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60358091)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 電子スピン共鳴法 / シリコン結晶 / 原子空孔濃度 / キログラム / 精密計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量の単位「キログラム」をプランク定数などの基礎物理定数によって実現することを目指した研究が、各国の計量標準研究機関で実施されている。その一つが直径約94 mmのシリコン28単結晶球体の体積、モル質量、格子定数、酸化膜の厚さ、不純物濃度、原子空孔濃度を精密に計測し、キログラムを実現する方法である。 研究代表者は、シリコン28単結晶中の原子空孔濃度の計測が、高精度なキログラムの実現において重要であると考えている。そこで、本研究では、質量の単位「キログラム」を基礎物理定数によって実現するために、電子スピン共鳴法を利用して、シリコン28単結晶中の原子空孔濃度を高精度で決定することを目指した。 前年度までに、シリコン28単結晶試料の作製と電子スピン共鳴法による測定を実施した。シリコン28単結晶試料の作製は、試料の精密な切り出し、鏡面研磨、精密洗浄で構成される。測定により、シリコン28単結晶中の各種の原子空孔濃度が1×10^12 cm^-3未満であることを見出した。結果として、これらの原子空孔による必要な質量欠損補正量は、1 kgのシリコン28単結晶球体に対して0.4 μg未満であると推定した。更に、シリコン28単結晶中の原子空孔濃度の計測を高精度化するため、試料の作製方法の改良を試みた。電子スピン共鳴法による測定により、原子空孔による必要な質量欠損補正量は、1 kgのシリコン28単結晶球体に対して0.2 μg未満であると推定された。今年度は、これまでの測定結果の解析と結晶内の濃度分布の系統的な調査を実施した。 2017年から2022年までの本研究期間における研究成果の発表は次の通りである。雑誌論文6件(内訳:国際誌3件、国際学会予稿集2件、国内学会予稿集1件)、学会発表3件(内訳:国際学会2件、国内学会1件)、図書1件(博士論文)。
|