2021 Fiscal Year Annual Research Report
Simulation study of spin polarized positron annihilation
Project/Area Number |
17K05118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斎藤 峯雄 金沢大学, 数物科学系, 教授 (60377398)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 密度汎関数理論 / スピン軌道相互作用 / 運動量密度 / 強磁性金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン偏極陽電子消滅実験より、強磁性金属の電子スピン分極に対し有用な情報が得られる。本研究では、運動量密度の2成分密度汎関数理論に基づく計算を行った。これまでに、群論に基づき、各バンドの既約表現を求めるプログラムを作成し、運動量密度の異方性が各k点の対称性に由来することを明らかにしている。本年度は、4種類の強磁性金属(Fe,Co,Ni,Gd)の運動量密度について詳しい解析を行った。いずれの物質においても、スピン密度の空間分布を調べると、多数スピンの方が少数スピンよりも、原子核近傍により局在することが明らかになった。いっぽう、運動量密度は、多数スピンの方が広い分布を持つことが計算から示され、このことは実験結果と一致する。個々の波動関数の各スピンに対する空間分布と運動量密度分布への寄与はおおよそフーリエ変換の関係にあると考えられ、そのことが上記のスピン密度の空間分布と運動量密度分布の関係に影響を与えたものと考えられる。多数スピンの方が狭い空間分布を持つのは、電子の多体効果の影響によるものと考えられ、それが、スピン偏極陽電子消滅実験で得られる運動量密度分布に反映されると解釈できる。 また、本研究では、電子系のスピン軌道相互作用を取り入れた計算を行った。その結果、スピン軌道相互作用が、運動量密度分布に対し、有意の差を与えることをあきらかにした。このことにより、スピン偏極陽電子消滅実験で得られた運動量密度分布を第一原理計算に基づいて解析する際、スピン軌道相互作用を考慮することの重要性を示した。
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Research Products
(4 results)