2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノ周期構造体を用いた励起イオンビームの生成に関する基礎研究
Project/Area Number |
17K05127
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤田 奈津子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究職 (50707396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 邦和 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (00397837)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | チャネリング / AMS / 加速器質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では加速器質量分析(AMS)における新しい同重体分離技術を提案する。具体的にはコヒーレント共鳴励起に基づく同重体分離であり、イオンが結晶チャネルを通過するときに大きな角度のイオン散乱を大幅に減少させる現象である「イオンチャネリング」に基づいている。本年度は,昨年度成果を得たイオンチャネリングを利用したディグレーダーを、AMS装置の小型化に向けて原理実証を行った。 この原理実証ではイオンの大角散乱の抑制と、十分なディグレーダー機能によるベリリウムとその同重体であるホウ素の間のエネルギー差が得られることが確認された。今後実用試験として、耐久性や測定結果の安定性等にかかわる試験を行う予定である。 これらの成果は、2018 年秋季第79 回応用物理学会学術講演会において招待講演で発表を行い、さらに論文投稿及び国内外において学会発表を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究活動の内、RCEを発生させるためのチャネリング技術の構築については当初計画よりも順調に進行しているが、RCEの発生については当初計画よりやや遅れている。平成30年度に予定していた研究計画に対してこれらの実施結果を踏まえて総合的に判断すると、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度もRCEによる励起イオンビームの生成を目指し静電偏向器中に配置したナノ・グレーティングに向かってイオンを入射する系を構築し、以下①から③に挙げる基礎実験を系統的に行うことで、RCEによる励起ビーム生成の道筋を明らかにする。①飛行高度に対するRCEの発生率の変化を明らかにする。②RCEの励起スペクトルを観測し、イオンのエネルギー広がりを把握する。③入射ビームの収束角に対するRCEの発生率の振る舞いを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
平成30年度において新しい実験装置の設計に時間を取られ、平成30年度に計画していた物品購入を令和元年度に延期することにしたため次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和元年度分経費と合わせて物品購入に係る費用や実験に係る費用等に使用する。
|
Research Products
(11 results)