2019 Fiscal Year Research-status Report
次世代リング型光源に向けた革新的な常伝導高調波空洞の開発
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17K05131
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山本 尚人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60377918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ビーム物理 / 高周波空洞 / 減衰型空洞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き周波数1.5GHzのTM020共振モードを加速モードとする寄生モード減衰型高周波空洞実現にむけ、電磁場シミュレーションを用いた空洞設計を行った。 具体的には、高周波入力カプラ及び周波数調整用チューナを空洞本体に接続すると加速モード性能が大きく低下する可能性が2018年度までの研究によって明らかになっていた。 本研究では、この問題についてシミュレーションによる系統的かつ詳細な周波数解析を行い、この性能劣化の原因と対策を確立した。性能低下は空洞の軸対称性を破るような摂動が加わったことにより、元来単極モードしか存在しない加速モードに二極もしくは四極モードの成分が生まれ、これが寄生モード減衰用の同軸型スロットに伝搬することが原因であった。このため、我々は空洞の対称性を高めるための工夫を追加することで、加速モードの性能劣化の割合を十分に小さくすることに成功した。 また、上述した問題が解決した後は、空洞に存在する加速モード以外のモード(寄生モード)を減衰することを目標にさらなる電磁波シミュレーションを実施した。空洞のビームパイプ径を調整した後に残る寄生モードは4個程度であった。これら寄生モードは空洞内部の構造に手を加えることにより減衰できるが、実際の空洞製作過程を踏まえた構造にする必要があり、また空洞内での発熱や放電についても気を遣う必要がある。年度の最終年度には、これらの課題についてほぼ目処がついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していなかった、空洞の軸対称を乱す構造に対する対策をとる必要があったため、少し時間がかかったが、既にこの問題も解決しおおむね順調に進展している。 今年度には予定通りモデル空洞の製作と試験が可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は残る寄生モードを減衰させるため、空洞設計パラメータの最終調整を行う。また、年度の早いうちにモデル空洞の製作にとりかかるよていである。 モデル空洞が完成した後は、先に立ち上げておいた測定システムを用いて基本性能の確認を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画では2019年度に高調波空洞の低電力モデルを製作するはずであった。低電力モデルは実用空洞と可能な限り同設計とすることが望ましい。ところが低電力モデルの設計研究を進めるにあたり、新たに考慮すべき事象(周波数チューナーと高周波入力カプラが 空洞性能に与える影響の確認)があることが判明した。2019年度にはこの検討を新たに行ったため、研究計画の一年の延長が必要となった。
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