2017 Fiscal Year Research-status Report
マルチフィジックス流動シミュレーション手法の開発:ウェーブレットの視点から
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17K05139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 直也 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80547414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳松 克則 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (70377802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 擬似圧縮 / ウェーブレット / 非圧縮流れ |
Outline of Annual Research Achievements |
非圧縮性流れの解法として様々なスキームが用いられている。今年度は、(a)スペクトル法、(b)差分法、(c)擬似圧縮手法をとりあげ、外力下での3次元一様等方性乱流に対し手法の比較を行った。外力は非圧縮なランダムフォーシングを用い、手法(a)から(c)において、すべて同じ時間履歴をもつ外力を低波数のみに与えた。(b)の差分法として、6次精度コンパクト差分を用いた。(c)も空間の離散化には同じコンパクト差分を用い、擬似マッハ数はMa=0.1とした。時間発展には4次のRunge-Kutta法を用い、すべての手法で同じ時間刻みを与えた。(a)~(c)では、速度・圧力は同一の点で定義されている。格子点数N=256^3に対し(a)から(c)により計算を行った。正解場はN=512^3で(a)で計算してえられた場とした。エネルギーの時間発展をt=0から5Tまで調べたところ(Tは大きなスケールの渦回転時間)、手法(a),(b)は正解場と誤差2%程度の近い値を示し、(c)は後半の時刻(t=3Tから5T)においては、誤差が4%程度であることがわかった。一方で、エンストロフィーの時間発展は、どの手法も5%程度の誤差であることがわかった。 またウェーブレットフィルタリングをオイラー方程式に適用しノイズ除去に基づくレギュラリゼーション手法の開発を行った。この手法によって数値計算された場のエネルギースペクトルは、波数の-5/3乗のスペクトルをもつことがわかった。詳細は文献(Farge et al., Phys. Rev. E 96, 2017)を参照されたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンパクト差分による非圧縮流体スキームや、それを利用した擬似圧縮手法が、外力下での3次元一様等方性乱流の統計をどの程度再現するかの知見が得られ、またウェーブレットは流れのアダプティブなレギュラリゼーション手法として有効であることがわかった。この知見は、本研究課題における今後のスキーム開発に有用な知見を与えると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
擬似圧縮手法を異なるMa数、壁のある系で検証を行う。熱流束ありの複雑境界を扱うことのできるペナライズ手法の検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究分担者に1万円弱の未使用額が生じた。これは翌年度の分担金と合わせて国内出張旅費または専門書の購入に充てていただく予定である。
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