2020 Fiscal Year Annual Research Report
Intelligently controled device simulator utlizing small numer of dominant time constant approximation
Project/Area Number |
17K05142
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊代 成孝 京都工芸繊維大学, グリーンイノベーションラボ, 特任教授 (60791473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和淑 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (70252476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 負の時定数 / スナップバック / ハードブレークダウン / ホモトピー法 / バイアス電圧増分量制限法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度迄で提案時の技術目標は全て達成しているが、今年度はスナップバック特性の安定なシミュレーションに要する時間をより低減する手法の開発を目指した。 回路シミュレーションの収束性向上策として良く利用されているホモトピー法に関して基礎的文献調査を行い、負の時定数の大きさを大きくすることが可能かどうか検討。ホモトピー法には様々なバリエーションがあるが、基本的思想は変数の変動幅を制限することによって系を収束半径内に追い込むことにある。これをデバイスシミュレーションに適応する場合、最も計算コストの少ない方法は、電極のバイアス電圧の変動量にダンパーをかけつつ徐々に増大させて行く方法であることが判明。これは、昨年度開発した「バイアス電圧増分量制限法によるブレークダウンの安定なシミュレーション手法」そのものであり、負の時定数が発生しない様にバイアス電圧の変動量を制限すれば、ホモトピー法が必ず収束することを意味している。従来、ホモトピー法の収束パラメータは各問題の性質に応じてad hocに決定されて来たが、デバイス解析では負の時定数の出現の有無によって決定出来ることになる。負の時定数の大きさを大きくする、という当初の目論見はかなわなかったが、デバイスシミュレーションにおけるホモトピー法に関して新たな知見を得ることが出来た。 一方、デバイスシミュレーションにおいては、変数の一つであるキャリア密度は必ず正でなければならず、系の時定数が負になる場合は負のキャリア密度が出現することが、これ迄の検討で明らかになっている。そこで、電流連続方程式の定式化を変え、擬フェルミポテンシャルを変数に取る様にすれば、負のキャリア密度は発生せず、それに応じて系の時定数にも変化が生じるものと期待される。今年度はこのアイディアの着想のみで時間切れとなってしまったが、今後もしチャンスがあれば、このアイディアの検証を行いたい。
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