2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on transition processes of streamwise vortices aimed at an innovative creation for the growth of perturbations in a high Mach number
Project/Area Number |
17K05145
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
比江島 俊彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60316007)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 航空宇宙工学 / 流体力学 / 数理物理 / シミュレーション工学 / 再使用型宇宙輸送機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,高マッハ数での縦渦遷移機構の解明と渦崩壊等の制御に必須な知見を得ることである。縦渦は低速流から高速流まで乱流遷移における核となる組織渦構造であるが,高速流での縦渦遷移の機構は低速流と違ってよくわかっていない。この高速流における縦渦遷移機構の解明は,次世代高速旅客機や宇宙往還機におけるエンジンの性能向上,超音速域での騒音低減および再突入時に生じる空力加熱に対する機体の熱防御に関する問題等に貢献が期待できる基礎的知見となる。本研究では,スーパーコンピュータ(大規模計算機システム)による数値計算と安定性理論に基づく数理解析により,高マッハ数で発達する渦構造から遷移特性や渦崩壊機構を明らかにする。 超音速縦渦流れに対する圧縮性効果を高精度の数値計算により,成長する攪乱や発達する組織渦構造から調べている。2020年度に取り組んだ内容は以下の通りである。 (1)高いマッハ数でのヘリシティの不安定性をさらに線形安定解析によって調べ,軸流速度による周方向渦度厚さの効果を確認し,通常のBatchelor渦分布との違いを確認した。 (2)攪乱が発達した下流での組織構造を捉えるための小スケール渦解像に関する3次元数値計算法の高次精度化の研究を行った。こちらはまだ試行テストの段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高マッハ数における乱れの成長を促進できる要素として,渦度分布とともに熱力学的量の分布が重要であることを縦渦流れが関連する不安定性に基づく変動成長から明らかにした。この4年間で,超音速流における渦崩壊現象に関する発生条件の導出,マッハ数の増加とともに乱れの成長を阻害する圧縮性効果の要因がエントロピー変動(密度変動)の成長と関連があること,ヘリシティ分布の不安定効果が大きな変動生成と動径方向への強い変動場の拡がりをもたらすことがわかった。なお本研究で得られた知見から縦渦を使った超音速燃焼に関する研究への波及もあった。ただし,コロナ禍の影響でその他の業務(教務負担)が増加し,最終年度のまとめに関する予定が少し遅延している。
|
Strategy for Future Research Activity |
高マッハ数でも圧縮性の影響を受けにくい縦渦の基本特性を遷移と不安定性の観点から把握し,高速流場における種々の課題への適用につながる縦渦を制御するパラメーターを確立する。継続テーマとしても重要となる発達した下流での組織構造に関して,レイノルズ数の影響も調べる必要があり,そのための数値計算法の高精度化に取り組む。最終年度として,これまでに得られた新しい知見から超音速渦の遷移機構を整理し,学術論文としてまとめる。
|
Causes of Carryover |
感染症の流行(コロナ禍)の影響で本年度の研究が滞ったため,学会等の成果発表の予算も未使用となった。そのため研究期間を延長することにし,本年度予算の残額は,研究成果をまとめる投稿論文の英文校正費用や成果発表のための国内外の旅費に充てるため,次年度(最終年度)に繰り越した。
|