2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of adaptive solution process simulation method with heterogeneous modelling
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17K05151
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
米谷 慎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (30443237)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モデリング / 粗視化 / シミュレーション / 溶液プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
R1年度は、可溶性フタロシアニン溶液のバーコートプロセスによる高配向薄膜形成プロセスに本研究で得られた手法を適用し、その高配向膜形成機構の解明を試みた。このプロセスにおいては、希薄溶液状態から最終的には結晶性薄膜まで溶質であるフタロシアニンの濃度が大きく変化する。 本手法では、まず、希薄溶液状態をランジュバンダイナミクスと拡張WCAポテンシャル及びリアクションフィールドを組み合わせたインプリシット溶媒でモデリングすることにより、溶質フタロシアニンが単分散状態からπ-π相互作用により自発的にカラム状にスタッキングする様をシミュレーションすることができた。バーコートプロセスにより溶液に加わるせん断場は上記のインプリシット溶媒モデルでは再現不可能であるが、単原子モデルで粗視化した溶媒でモデル化することによりSLLOD法でせん断場シミュレーションが可能となり、これによりスタッキングしたカラムがせん断場方向に配向する様をシミュレーションすることができた。次に溶媒を単原子から3原子、ユナイテッドアトムモデルと溶液濃度に応じて変化させて行き、せん断場下での濃度上昇により多数のカラムがクロモニック液晶的な配向増強によりさらに高配向化する様がシミュレーションできた。 以上、本手法の適用により、可溶性フタロシアニン溶液のバーコートプロセスによる高配向薄膜形成プロセスに於いては、π-π相互作用による自発的に形成されたカラムがせん断場により初期配向し、さらに濃度上昇によるクロモニック液晶的な配向増強機構により高配向薄膜が得られることがシミュレーションにより示唆された。この例の様に、本手法は、溶液プロセスによる有機半導体薄膜形成メカニズムを解明・解明する有力な手法の一つとなると考えられる。
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Research Products
(16 results)