2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of the algebraic study of graphs
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17K05156
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 太初 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50466546)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アソシエーションスキーム / 距離正則グラフ / Terwilliger 代数 / グラフのスペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Terwilliger 代数はグラフの固定した1頂点に付随して定まる行列代数であるが、North Florida 大学の Jae-Ho Lee 氏と共同で、重要な距離正則グラフのクラスである双対極グラフに対して、固定した極大クリーク及びその中の1頂点に付随して定まる行列代数を考察し、この代数の所謂「主加群」がランク1のダブルアフィンヘッケ環のある種の退化 (nil-DAHA) の既約加群にもなっていること、及び主加群の自然な基底からローラン直交多項式系 (非対称双対 q-Krawtchouk 多項式) が構成されること等の成果を得た。共著論文を執筆し、既に出版されている。なお、この共同研究は前年度に開始したものであるが、諸定理の精密化・改良を行った他、非対称双対 q-Krawtchouk 多項式の漸化関係等の新たな成果も盛り込んでいる。
2. 東北大学の尾畑伸明氏及び De La Salle 大学の John Vincent Morales 氏と共同で、強正則グラフとその補グラフそれぞれのベキの同時スペクトル分布を考察し、その極限分布を完全に決定した。元の同時スペクトル分布には2変数 Krawtchouk 直交多項式が対応するが、この極限として新たな2変数超幾何直交多項式系を構成した。現在共著論文を執筆中である。
3. Terwilliger 代数の拡張に関する研究を田中利恵氏及び私の学生の渡邊悠太氏と継続して行っており、執筆中の共著論文のページ数が既に70ページに達しているが、本年度は Terwilliger 代数が「thin」と呼ばれる非常に良い性質を持つことの判定条件を示した他、新たな具体例として直径5の対蹠的2部距離正則グラフの既約加群の記述も含めた。次年度中に完成する見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、論文執筆の状況は上述の通りである一方、距離正則グラフ上の量子ウォークや、グラフのスペクトル理論の空間経済学への応用等、本研究計画に関わる種々のテーマに関して有益な情報収集を行うことができた。次年度以降に順次取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画に関して、海外の研究者との研究交流をさらに拡大するよう努めたい。特に、平成30年5月に仙台で組合せ論に関する大規模な国際会議が開催予定であり、この機会に海外の研究者を招聘して情報収集・研究打合せを集中的に行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
2月・3月中に研究打合せのための出張もしくは研究者の招聘を検討していたが、他のイベントや業務の関係で日程が確保できなかったことによる。「今後の研究の推進方策」で述べた通り、5月中に海外からの研究者招聘を計画している。
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