2017 Fiscal Year Research-status Report
L-関数たちの集合に対するランダム配置と独立性の研究
Project/Area Number |
17K05160
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
名越 弘文 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70571165)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | L-関数 / 普遍性定理 / 関数的独立性 / 値分布 / 稠密性 / ディリクレ級数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,次のような研究成果を得ることができた。リーマン・ゼータ関数やL-関数たちの値分布論において,普遍性定理やさらに強くした同時普遍性定理と呼ばれるものが知られている。実指標を動かした場合における複数個のあるL-関数たちの同時普遍性の結果を共同研究により研究代表者らは得ていた。この結果は,それらのL-関数たちがある種のランダム性を持つことを意味している。今年度,昨年度に引き続いてその論文を作成する中で,当初の論文作成計画に対してさらに関連する結果を付け足すことができた。
また,レルヒ・ゼータ関数たちのある集合に対して,同時値分布とその応用としての関数的独立に関する結果を研究代表者は以前に得ていた。今年度,もっと広い集合に対して同様な結果を得ることでき,よって,以前の結果を拡張したものを得ることができた。そして,その論文の作成を進め現在も継続中である。
上述の普遍性定理は,臨界領域内の右半分の領域における話であり,その定理からある関数空間における稠密性が得られる。その稠密性あるいは逆に非稠密性が他の領域たちではどうなっているのかは,興味深い話である。交付申請書の「平成29年度の研究実施計画」に沿って,L-関数の値分布に関する確率論的な結果の論文たちを調べている中で,リーマン・ゼータ関数とその導関数たち,さらにはもっと一般のL-関数とその導関数たちに対して,ある関数空間における稠密性と非稠密性の結果を共同研究により得ることができた。これは,「平成29年度の研究実施計画」を作成したときには想定していなかった新規の成果である。そして,その論文の作成を進め現在も継続中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に得られた成果の内容は,交付申請書の「平成29年度の研究実施計画」において予定していた内容そのものとは少し異なる方向のものであり,むしろ,「平成30年度の研究実施計画」に記したものに関連する内容となっている。ただし,「平成29年度の研究実施計画」に沿って文献を調べていく中で得た知識を使って,その研究実施計画を作成した当時には全く想定していなかった新規の研究成果を得ることができた。このように全体としては当初の予定や考えをもっと深めたものとなっており,そのため,研究としては順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,今年度に得られた成果たちを論文にまとめる。また同時に,交付申請書の「平成29年度の研究実施計画」と「平成30年度の研究実施計画」に述べた残された課題および上記の今年度の新規の成果に関連する研究を推進していく。交付申請書の研究実施計画を大幅に変更する必要はない。このように,当初の計画とそれをさらに深めたものに沿って研究を行う予定である。
|