2018 Fiscal Year Research-status Report
L-関数たちの集合に対するランダム配置と独立性の研究
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17K05160
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
名越 弘文 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70571165)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | L-関数 / 普遍性定理 / 関数的独立性 / 値分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに得られていた成果に関して,共同研究の分も含め,3本の論文を作成した。それらのうちの2本は,掲載確定しまた既に掲載された。 さらに,ディリクレ級数たちの代数的独立性やもっと強い関数的独立性に関する新たな結果をいくつか得た。それらのうちで2つの結果を以下に述べる。 1つ目は,リーマンのゼータ関数 ζ(s) の代数的差分微分独立性に関するものである。ゼータ関数 ζ(s) は有理関数体上で代数的微分独立性を満たす(すなわち,どんな代数的微分方程式も満たさない)ということを,1900年にHilbertが示した。その一般化として,代数的差分微分方程式を考えたときの研究が行われてきた。ここでの差分とは,ζ(s + s_1),...,ζ(s + s_r)(導関数たちに対しても同様)という形を扱うことを意味する。例えば,1920年にOstrowskiが,相異なる任意の実数たち s_1,...,s_r の場合に独立性を得た。1986年にShapiroとSparerが,ある行列式を計算することによって,実部たちが相異なる任意の複素数たち s_1,...,s_r の場合に独立性を得た。それらの結果を拡張し,相異なる任意の複素数たち s_1,...,s_rという最も緩い条件で独立性を示した。 2つ目は,一様分布する数列に対する適当なディリクレ級数たちの関数的微分独立性に関するものであり,値分布の観点から証明した。具体例として次が挙げられる。SL(2,Z)の正則 Hecke 固有尖点形式 f に対して,Sato-Tate予想が証明されているが,f に付随する対称積 L-関数たちとそれらの導関数たちに対してある関数的独立性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に得られた成果の内容は,交付申請書の「平成30年度の研究実施計画」において予定していた内容そのものとは少し異なる方向のものであり,むしろ,「平成31年度の研究実施計画」に記したものに関連する内容となっている。また,その研究実施計画を作成した当時には全く想定していなかった新規の研究成果を得ることができた。そのため,研究としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,本年度に得られた成果たちを論文にまとめる。また同時に,交付申請書に述べた残された課題および上記の新規の成果に関連する研究を推進していく。交付申請書の研究実施計画を大幅に変更する必要はない。このように,当初の計画とそれをさらに深めたものに沿って研究を行う予定である。
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Research Products
(3 results)