2017 Fiscal Year Research-status Report
新しい簡約理論による格子不変量の計算アルゴリズムの研究
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17K05170
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡部 隆夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30201198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 簡約理論 / 代数群 / 最短ベクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、有理数体上定義された一般線形群等について、その算術商の基本領域の境界における0次元セルを決定するアルゴリズムを開発することである。とくに平成29年度の研究では、一般線形群の算術的最小関数から定まる最小点集合の計算アルゴリズムを見つけことを目標としていた。この目標は概ね達成できた。 行列のサイズが n の一般線形群の場合,1 以上 n-1 以下の整数 k を一つ固定するごとに、k-算術的最小関数とよばれる一般線形群上の関数が定義されて、それをもとにユニモジュラー群の基本領域が構成できる。k=1 の場合は、この基本領域の構成はKorkine-Zorotarev-Grenierの基本領域と一致しており、この場合の最小点集合はいわゆる格子の最短ベクトル集合と一致する。最短ベクトルを求めるアルゴリズムはいろいろ知られている。問題となっていたのは、k が 2 以上の場合であるが, この場合は整数成分の (n,k) 行列である種の最小性条件を満たすものの集合が最小点集合をなす。区別のため、これを k-最小点集合とよぶことにする。最短ベクトル集合との相違は、k-最小点集合は無限集合であり、サイズが k のユニモジュラー群による右作用の軌道が有限集合になるという点である。そのため、k-最小点集合の決定は、軌道の代表系を求めるということになる。 平成29年度の研究では、Minkowskiの簡約理論を応用することにより、軌道の代表元の成分に対するよい評価を見出し、この評価にもとづいて代表系を決定するアルゴリズムを考案した。実際の計算で、n が 8 程度までなら、任意の k でうまく機能することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で説明したように、平成29年度の到達目標としていた最小点集合の計算アルゴリズムが構成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、最小点集合の情報からRyshkov領域の境界面の定義イデアルを記述する方法について重点的に研究する。平成30年4月下旬に予定されているBrown大学での研究集会に、大学院生の Lee Weng君を派遣し、専門家と情報交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった専門書が出版延期となり当該年度内に購入できなかった。出版され次第購入する。
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Research Products
(1 results)