2017 Fiscal Year Research-status Report
Vertex operator algebras and modular differential equations
Project/Area Number |
17K05171
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永友 清和 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (90172543)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 頂点作要素代数 / モジュラー微分方程式 / ベクトル値モジュラー形式 / モジュラー形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
頂点作要素代数の指標の空間はある保型微分方程式とよばれる確定特異点をもつ常微分方程式の解空間の部分空間となる。与えられた頂点作用代数に対応する保型微分方程式を用いて,頂点作要素代数の分類に関する研究を実施した。具体的には (a) 2階模型微分方程式の解の分類と対応する頂点作要素代数の分類,(b) Kaneko-Zagier方程式の3階化への拡張を実現し,その解を具体的に保型形式を用いて表示した,(c) 2,3,4個の既約表現を持つ極小模型に対応する模型微分方程式を具体的に求め,指標に対する非常に弱い条件のもとで極小模型を特徴づけた。(d) (2,N)型の極小模型の指標にDedekindのeta関数の適当なべきをかけると分数の重さの指標付き模型形式と位置することを証明した。項目(b)と(c)までの内容は既に出版あるいは掲載受理されている。(a)と(d)は投稿準備中である。
保型微分方程式は頂点作要素代数,また,ベクトル値保型形式の理論から自然に現れる。しかしながら,その現れ方は互いに異なっており,頂点作要素代数の場合は一点関数の定義から,ベクトル値保型形式の理論の場合はモジュラー群にに関する指標の空間の不変性から導かれている。ベクトル値保型形式の理論の場合はある保型微分方程式の解空間に一致する条件は知られているが,頂点作要素代数のからのアプローチではそれに対応する条件は求められていない。現在,頂点作要素代数の場合は特徴づけが出来ないのかを研究中である。また,アフィン頂点代数の中で指標の次元は6次元であるが,対応する保型微分方程式は9階であるものが存在する。このように,2次元だけの指標でない解を持つ。その解の持つ意味となぜそのような解が存在するのかを目的とした研究を実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の欄で記述したように,4編の論文が出版あるいは掲載受理され,国内外の研究者から重要な研究として認識されている。当初計画の研究方法は,3名の共同研究を実施することであったが,我々の研究成果を重要と考える海外の研究者から,問い合わせ,共同研究の申し出が多くあった。実際,その一つとしたカルフォルニア大学サンタクルーズ校Geoffrey Mason教授と研究連絡を実施し,すでに成果を得ている。また,マックスプランク研究所のDon Zagier教授は重要な研究と認め,多くの助言を得ている。したがって,我々の研究が行き詰まった場合でも,直ちに困難に関連する分野の専門家に問い合わせることが可能であり,このことが研究の進捗を速めている。
また,共同研究研究者は保型関数の専門家であり,かつ,数式処理システムの使用に習熟しているので,手計算では不可能と考えれる計算をごく短時間で実施することが可能になった。この共同研究者の寄与は大きく,保型微分方程式を解くことを有効かつ迅速に実施することができるのもその一一因である。しかし,極小模型を特徴づけるためには,超えなければならない問題があった。それは高階のディオファンタス方程式を解くことである。計算機を用いて有限個の解を求めることができたが,それが全ての解であることは証明することができなかった。そこでDon Zagier教授に問題の解決を依頼した。即日,返事があり,そこには我々が見つけた解が全てであることが証明されていた。このように,保型関数を専門とする高名な研究者を友人として持っていることも研究の進捗を加速している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の重要な問題は(a)3階の保型微分方程式の階の分類と対応する頂点作要素代数の決定,(b) 高階の保型微分方程式の構成と研究,(c) 有理的でない頂点作要素代数の指標と擬指標の生成する線型空間のモジュラー不変性に基づく,保型微分方程式の研究,(d) 頂点作要素代数の指標と擬指標の生成する線型空間が保型線型空間の真部分空間になる場合の特徴づけ,などがある。
今後の研究の推進計画は未だ明確ではない。しかし,問題(a), (b)と(c)に関してはすでに研究を開始している。さらに,(b)に関しては部分的な結果を得ている。(a)に関してはガウスの超幾何関数を使用するとこ,(b)に関しては保型形式の理論で有名なRankin-Cohen括弧積を利用する方針で研究を進めている。(c)と(d)は従来の方法を改良することにより研究の進捗を得ると考えていいる。
|
Causes of Carryover |
共同研究を実施しているアメリカ合衆国インディアナ州ノートルダム大学のKatrina Barron教授を訪問した時に,滞在費(宿泊費,日当)が支給されたため,当初の使用計画と齟齬が生じた。また,訪問時が1月であったため,他の共同研究者を訪問する時間がなく,残額を使用することが困難であった。また,計算機の購入も考慮したが,金額の折り合いがつかず次年度に購入することとした。さらに,招へいを予定していたGeoffrey Mason教授の都合がつかず,次年度に延期になった。以上の理由で次年度使用額が生じ,上述の使用計画を立てている。
|
Research Products
(2 results)