2018 Fiscal Year Research-status Report
Vertex operator algebras and modular differential equations
Project/Area Number |
17K05171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永友 清和 大阪大学, 情報科学研究科, 招へい准教授 (90172543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頂点作用素代数 / 指標 / 保型形式 / 保型微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限型頂点作用素代数の指標の空間はモジュラー微分方程式とよばれるセール微分とフルモジュラー群上の保型形式から構成される微分方程式の解空間の部分空間をである。この部分空間は解空間と一致するわけではないが,多くの場合一致すると考えれられる。今年度の研究では,解空間と指標の空間が一致する頂点作用素代数の分類を保型微分方程式の階数が6以下の場合に実施した。
今年度は以下の項目に研究実績実績をあげた。(a) 中心電化が8または16の場合で指標の空間の次元が3である場合の頂点作要素代数の分類 (b) ファルミオン頂点作用素代数の指標のみたす保型微分方程式の決定 (c) 保型微分方程式の擬保型形式を用いた表現 (d) 指標の空間が2次元である頂点作用素の分類 において以下の実績を挙げた。項目(a)に関しては,既約表現を3つ持つlattice VOAのみが現れると予想していた。詳しくはE8型格子の2乗根倍(c=8)とBarnes-Wall lattic (c=16)である。この予想はほとんど正しく,その他にB型のアフィンリー環が現れたが,これは適当な条件のもとで除外される。(b)は有限型であるが,有理的でない頂点作用素代数を考察したものである。この場合には指標の空間と保型微分方程式の解空間は一致しないと予想していた。ここで考察して例は2d個のファルミオンをもつ頂点作用素代数代数であるが,d=1の場合には対応する保型微分方程式が存在する。しかし,d=2の場合にはそのような保型微分方程式は存在しない。一方,指標の空間を部分空間とする保型微分方程式は7階であり,その布袋式を具体的に構成した。(c)は保型微分方程式の理論に新しい情報をあたえるもので,セール微分の代わにオイラー微分を用いて,保型微分方程式を特徴づけることが可能となった。最後に(d)においては,同型まで込めて証明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
保型微分方程式は予想以上に頂点作用素代数の分類に有効であることが研究代表者の研究により証明されつつあった。実際,指標の空間が2次元の場合には,指標の空間が頂点作用素代数を同型を除いて決定することを証明した。(California大学,Geofrrey Mason氏との共同研究)また,ヴィラソロ代数頂点作用素代数(極小模型)の分類理論は既約表現の個数が6個までの場合に証明されていたが,今回の実績(c)により,一般の場合の極小模型の分類が可能となるきっかけを得た。本研究までは低階(6階)の保型微分方程式に付随する頂点作用素代数のみが分類可能であったが,今回の発見(c)により,一般の階数の保型微分方程式に対応する極小模型の分類も可能となると思われる。さらにすべての3階保型微分方程式に付随する頂点作用素代数の分類が現在の主な研究目標である。そのために指標の空間の次元が3次元である具体的な頂点作用素代数を詳細に調べている。(d) 中心電荷c=8,16 (e) ウエイトの空間が8次元,16次元の頂点作用素代数の分類,(d)の研究が最も重要であるが,共形次元に依存しない解が存在するので,分類は困難を要したが,部分的な結果を達成することができた。(e)は(d)に比べて比較的容易であったが,量子次元の正確な値を知る必要があり,その計算に保型形式の理論を援用した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も今後は超共形代数の指標の空間と保型微分方程式の関係について研究を進める。階数lのB型有限次元単純リー環に対応するレベルが1のアフィン頂点作用素代数の既約表現の次元は常に3次元であり,中心電荷c=l(2l+1)/(2l-1)である。したがって,3次元の場合には無限個の頂点作用素代数が存在する。この無限系列の存在と先に述べた共形次元に依存しない保型微分方程式の存在が3次元の場合の分類を困難にしている。今後はまずB型のアフィンリー環の特徴づけを実施し,その後後者の研究に移行するつもりである。
さらに超共形代数に付随する保型微分方程式の分類を行う予定である。すでにN=4超共形代数とN=2超共形代数の指標の空間を与える保型微分方程式は決定済みである。ここで特徴的であるのは現れる保型形式がフルモジュラー形式でなくてレベルが2以上の合同群があらわれる。この事実は通常の保型微分方程式以外でもでもレベルの高い場合を考察する根拠を示している。超共形代数は他にも多く存在する。したがって,各超共形代数に関して指標による分類を試みる研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究期間の最終年度にあたり,国内外の研究集会に参加し,研究内容の発表を実施するための旅費として使用する。また,共同研究者の居住国である,ドイツ,イタリア,米国,中国を訪問し研究目的を達成,また,さらなる進捗を目指す研究を行う。
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Research Products
(6 results)