2017 Fiscal Year Research-status Report
簡約リー群の表現の分岐則を梃子とした実解析的保型形式の構成的研究
Project/Area Number |
17K05172
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森山 知則 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80384171)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 整数論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、本研究課題の参考に行っている正則保型形式の「optimalな」構成法について計算を継続し数理解析研究所の研究集会でその一部を報告した。その過程で、従来の小さい次数の不変調和多項式の次元の計算(計算機による)に誤りが見つかった。具体的には、この計算は, 実は計算機を使わずとも任意の次数で理論的な考察で求められることが判明し、結果として2か所の誤りが判明した。なお、同様の理論的考察がSiegel保型形式を生み出す多重調和関数の空間にも有効である可能性もある(ただし、現時点ではポジティブな成果は得られていない)。
関連して、格子の自己同型群で不変な多重調和関数の空間を求めるために、格子の自己同型群の表現論を用いる手法の可能性があることに、上記研究集会時における質疑の中で示唆された。必要とされる格子の自己同型群の表現論の結果(格子の自己同型群の指標表及び特に共役類の代表元の具体的な記述など)はすでに1970年代までには十分整備されているようであるが、その解読から着手すべきであろうことがわかってきた。
また、楕円保型形式のL函数の特殊値の計算の研究も再開し、指導する博士前期の学生によって問題のL函数の特殊値の平均値が任意の重さで計算された。これは解析的整数論の方面でも興味がもたれている問題であるらしいことを知らされたので、この研究に関与した数名の共著論文としてまとめる方向で話がまとまった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、本研究課題の参考に行っている正則保型形式の「optimalな」構成法について計算を継続しいくらかの成果を得た。一方で、そのとりまとめに手間取り、本来の実解析的保型形式の構成に関するテスト関数の探索に着手できなかったのは残念である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度の成果をまとめ、まずは講究録に報告し原著論文の作成する。その後本研究課題のかなめである実解析的保型形式の構成に関するテスト関数の探索を行う予定。
|
Causes of Carryover |
従来の計算機ソフトでの計算能力を超える計算が現時点では不要であったため。
|
Research Products
(1 results)