2019 Fiscal Year Research-status Report
簡約リー群の表現の分岐則を梃子とした実解析的保型形式の構成的研究
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17K05172
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森山 知則 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80384171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 整数論 / テータ級数 / 不変式 / ヘッケ作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前に行った、不変調和多項式と一変数のテータ級数の関係について考察を継続した。これまで研究室の大学院生の船田氏と加藤氏の協力のもと得られたE_8格子およびE_6格子に関する計算結果に関しては、英文のノートにまとめた。さらに、これらの計算結果の(2次)ジーゲル保型形式版の可能性を追求した。そのためには、格子の自己同型群で不変な多重調和多項式を構成する必要があるが、不変式に関する既存の結果がそのままでは使える部分は少ないので、計算機に頼るか既存の結果の証明にまで立ち戻って考える必要があるという認識を強めた。 また一変数に限っても、格子の自己同型群不変な(多重)調和多項式はコンパクト直交群のヘッケ同時固有関数とみなせるので、それによって構成されたテータ級数Petersson内積、そのテータ級数のL-value、および不変調和多項式のノルムの三者は、S.Rallisの内積公式を通じて関連付けられると思われるが、そのための準備的な考察を行った。 このほか、2次Siegel保型形式に働くヘッケ作用素のフーリエ係数への作用に関する古典的な扱い(A.N. Andrinanovによる1970年代)に関しても再検討した。これは、2元2次形式に関するケースバイケースの証明によるやや繊細な議論に依拠していた。これは現代的な扱いでは、p進体上のBessel模型の明示公式を用いた議論に置き換わっているが、古典的な扱いにおける繊細な議論は少なくとも見かけ上は不要になっているようにも見えるので, その理由を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
不変(多重)調和多項式によるテータ級数に研究について、一変数に限っても、多変数への拡張にせよ実質的なあたらな計算が行えておらず、これまでに得た結果の整理にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の不変式の結果だけでも不変多重調和多項式を構成することは限定的ながら可能であるのでまずそこから手を付けたい。Rallisの内積公式を我々の状況に当てはめて考察する。
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Causes of Carryover |
今年度は、予定していた旅費が先方の研究費によって賄われ、また3月の学会等の出張旅費が学会中止に伴って不要となった。計算機・周辺機器の維持を図り、また必要書籍もあるのでそれらに充てる予定である。
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