2022 Fiscal Year Research-status Report
簡約リー群の表現の分岐則を梃子とした実解析的保型形式の構成的研究
Project/Area Number |
17K05172
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森山 知則 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80384171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 整数論 / 実解析的保型形式 / テータ級数 / ポアンカレ級数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も、本研究課題の主たる目的の一つである実解析的ジーゲル保型形式の具体的な構成についての研究をテータ級数による方面から継続した。また、これまで本研究課題では考えてこなかったポアンカレ級数としての保型形式の構成方法についても検討を開始した。 ジーゲル保型形式のテータ級数による構成におけるテスト函数の満たすべき条件の探索を継続した。このテスト函数は、ユニタリ群U(n)の多項式表現に属する多項式であるが、そのような多項式表現の具体的な構成法がかなり前から知られており、正則なジーゲル保型形式の構成に使われている。この手法を転用することが一つ有望であると思われるが、まだ望ましい結果を得るには至っていない。 また、これまで本研究課題の関連研究として行ってきた楕円保型形式の場合の調和多項式による構成について実例を追加した(実際的な作業(プログラミング言語Juliaによるcodingなど)は本年度指導した修士課程の大学院生によるものである)。前年度、プログラミング言語Pythonを用いていたが, より高速とされるJuliaを用いた。期待に反して著しく計算が高速化されるわけではなかった。一方で、Hecke作用素に関する同時固有調和多項式を計算するなど将来の多変数化の布石となる計算を行うことができた。Hecke作用素については、現状ではコンピュータによるごり押しの計算を行っており、これは実は理論的な考察によって避けられるようにも感じているが十分に時間をかけて検討できていない。しかし、仮にコンピュータによる計算が将来不要になるにせよ、検算や実例を提示するという価値はあるであろう。 そのほか、ポアンカレ級数のよる保型形式の構成方法についても検討を都築正男氏(上智大学)と開始し、ポアンカレ級数の「種」となる一般化Whittaker函数の大域的な積分表示を得ることが重要であるとの認識に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実解析的ジーゲル保型形式の具体的かつ豊富な構成に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな変更はなし。理論的手法および計算機手法の双方から、これまで十分検討できていない点を中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
オンライン研究集会やオンラインによる打ち合わせが中心で、旅費打ち合わせの旅費も先方の研究費で賄われたため旅費の支出が大幅に減少した。 今年度は、旅費や古くなったPC備品などの購入に充てる予定である。
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