K群の特殊元を用いた多変数岩澤加群の解析

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K05176
• Research Institution: The University of Tokushima
• Principal Investigator: 高橋 浩樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (90291476)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 一般Greenberg予想 / 岩澤加群 / 円単数 / カップ積

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は，代数体上のガロア表現から構成される多変数岩澤加群の構造を K 群の特殊元を効果的に利用することによって具体的に調査し，総実代数体に対する Greenberg 予想の一般化である代数体の一般 Greenberg 予想という岩澤加群の擬有限性に関する未解決予想の成立理由を明らかにし，その精密な予想を定式化して解決への道筋を探ることである．
古典的な Kummer-Vandiver 予想および総実代数体の Greenberg 予想に関連して，二次体に 1 の原始 p 乗根を添加した体の円分 Z_p-拡大に対する岩澤加群の構造の調査について，二次体の判別式の絶対値が 10 未満に対しては新たに 2000 万までの素数の範囲，判別式の絶対値が 200 未満に対しては新たに 100万までの素数の範囲を目標として定め，複数の計算機を用いて継続的に実行している．
一般 Greenberg 予想に関連して，4p 分体の p 円単数のカップ積について p<32,768 の範囲で計算を実行しており，特に p=379 に対してはイデアル類群のプラス部分が自明でなく， Kummer 生成元が p 円単数から得られない場合が得られている．このような一般的な状況に対する McCallum-Sharifi 型の全射性予想の確認方法について，保型表現を用いる方法と有理数体上のメタアーベル拡大の p 単数を用いる方法について予備的な調査を行い，具体的な計算の準備を行った．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計算機による調査および予備調査が計画通りに進んでいるため．

Strategy for Future Research Activity

研究計画に従い岩澤加群の具体的な構造についての計算機による二種類の実験を推進する．

Causes of Carryover

平成29年度に2台のMulti-Core CPU PCを購入を予定していたが，性能および価格面の理由で1台のみの購入となり，残り1台は次年度以降の購入が効果的であると判断した．また，学内業務で多忙であったため，当初予定していた情報収集のための出張が行われなかった．今年度中にPCを購入し，出張を行う予定である．