2019 Fiscal Year Research-status Report
From spin representations of the symmetric groups to Hirota equations
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17K05180
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山田 裕史 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40192794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シューア函数 / KdV方程式系 / ヴィラソロ代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
相変わらず KdV 方程式系の広田表示について初心に返って調べている.佐藤幹夫氏が1980年にこれに関する日本語の論説を書き(数理研講究録所収)計算結果を表にしているが,その意味が最近になってようやくわかりかけてきたところである.シューア函数やシューアのQ函数の恒等式が関係している.水川裕司氏,中島達洋氏とともに論文を準備中である.さらに対称群の p=2 のモジュラー表現論が微妙に関係しているらしい兆候が見られるので,その方向も現在精査中である.ヴィラソロ代数のフォック表現に関して奇妙な恒等式を見つけたので,青影一哉氏,新川恵理子氏と共著論文を書いた.KdV とうまく関係付けられればと思っている.ヴィラソロ作用素とプリュッカー関係式は私の若い頃からの研究のモチベーションでもあり,「また戻って来られたなあ」という感慨がある.分割の単因子に関して千吉良直紀氏と共著論文を書いたが,まだ出版に至ってはいない.易しい初等整数論でありながら対称群の表現論の深いところと繋がっているような気配がある.レフェリーがいかなる判断を下すのか興味津々である.様々な一般化が可能であるはずで,もう少し詳しく追求してみても面白いかなと思っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期的な目標を掲げているので,「昨年からこれだけ進みました」という具体的な,目に見える進捗はとくにない.「おおむね順調」と行って構わないと感じている.
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Strategy for Future Research Activity |
KdV あるいはもっと一般に KP方程式系の広田表示に関して,D加群的な視点が必要であると最近感じるようになった.もちろん広田の双線型方程式はD加群ではありえないのだが,佐藤氏は始めからそのような観点から理解しようとしていたフシがある.自分なりにきちんと理解したいというのが現在の問題意識であり,研究の方策である.
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Causes of Carryover |
2019年度はおおむね計画通りの支出であった.予定していた2回の外国出張も滞りなく遂行できた.ただ,2018年度からの繰越金額が大きく,結果的に2020年度に大きな額の繰越をせざるを得なくなった.2020年度は「研究計画が1年延びた」という意識で課題に取り組みたいと思う.
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