2018 Fiscal Year Research-status Report
CM型代数曲線の族、多重ガンマ関数、スターク予想、及び関連する数論的諸問題
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17K05183
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
加塩 朋和 東京理科大学, 理工学部数学科, 講師 (10403106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スターク予想 / グロス-スターク予想 / CM周期 / p進周期 / 多重ガンマ関数 / p進多重ガンマ関数 / フェルマー曲線 / 絶対フロベニウス作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、計画当初より一貫して「スターク予想と関連する諸問題に対し、新たな手法で取り組むこと」を目標としている。この新たな手法とは「スターク単数、CM周期、多重ガンマ関数」及びこれらのp進類似である「グロス-スターク単数、p進周期、p進多重ガンマ関数」を同時に用いる手法であった。その後の進展により、これらの性質を調べるための道具として「絶対フロベニウス作用」も同時に扱う形になっている。 すでに前年度までの研究により、1.フェルマー曲線に関して、二つの古典的な結果(ロールリッヒの公式とコールマンの公式)が有名である。この古典的結果を用いることにより、スターク予想とグロス-スターク予想に関する既知の結果の「別証明」が与えられることを示した。2.1の「別証明」は、基礎体が有理数体の場合に限られている。この結果を、一般の総実体へ一般化し、スターク予想とグロス-スターク予想(の精密化)を解決するために、どのような数学的道具を整備すればよいかを明らかにした。 加えて本年度は、3.自身の多重ガンマ関数を用いた研究と、この分野の第一人者であるダスグプタ氏のp進乗法積分を用いた研究との関係を明らかにした。4.1の「別証明」の一般化に必要な道具の一つとして、スターク単数やグロス-スターク単数を、多重ガンマ関数とp進多重ガンマ関数の比で表す公式を示した。5.3,4の内容を論文として公開するとともに、いくつかの研究集会において、研究成果を口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に想定していた構想の「外枠」が、おおよそ完成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
大きく分けて、二つの推進方策がある。 ・「別証明」の一般化へ向けて、いくつかの予想群を定式化し、プレプリントにまとめた。この論文の学術誌への投稿・出版を目指す。 ・「別証明」の拠り所となった、フェルマー曲線上の絶対フロベニウスに関するコールマンの公式は、実は、連続性や関数等式から半自動的に導かれることを発見した。この事実を論文にまとめ、学術誌への投稿・出版を目指す。さらにこの手法を一般化することにより、グロス-スターク予想(の精密化)の未解決部分への応用を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究集会参加費用の見積額の誤差による。 5年間のトータルでは凡そ使用計画通りになると思われる。
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