2019 Fiscal Year Annual Research Report
Uniformity of spectra of arithmetic manifolds and the deep Riemann hypothesis
Project/Area Number |
17K05184
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小山 信也 東洋大学, 理工学部, 教授 (50225596)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セルバーグ・ゼータ関数 / オイラー積 / 深リーマン予想 / リーマン予想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,セルバーグ・ゼータ関数に対して臨界領域内のオイラー積の収束性ならびに,オイラー積の収束と素測地線定理の誤差項の改善の関係を解明することであった.研究代表者は研究期間初年度に当たる2017年に金子生弥氏(現つくば開成高校)と知り合い,以後,本研究は金子氏との共同研究で行った.初年度には,私が特殊なユニタリ表現に関して実部が 3/4 より大きい領域でオイラー積が収束することを証明し,それを金子氏が任意の非自明なユニタリ表現に一般化した.研究期間2年目にあたる2018年度には,その結果を実部が 1/2 より大きい領域に拡張することに,セルバーグ1/4固有値予想の仮定の下で成功した.そして最終年度には,セルバーグ1/4固有値予想の仮定を外し,例外固有値が存在する場合に,その定理を一般化した.さらに,ユニタリ表現が非自明であるという仮定を外し,自明な表現の場合,セルバーグ・ゼータ関数が s=1 に特異点を持つ場合にも,その寄与を具体的に書き下すことにより,その項でオイラー積を割った値が収束することを証明した.これによって,任意のユニタリ表現に主結果は一般化された.
以下,セルバーグ・ゼータ関数に対し,極は位数が負の零点とみなし,零点と極を総称して「零点」と呼ぶ.本研究期間全体を通じて得た研究成果は,以下の通りである.(1)フックス群にユニタリ表現を付したセルバーグ・ゼータ関数のオイラー積を,例外固有値に対して明示的に書ける項で割った値は,実部が1/2より大きい領域で収束する.特にセルバーグ1/4固有値予想の仮定の下でユニタリ表現が非自明なときは,実部が1/2より大きい半平面で収束する.(2)前項のオイラー積が収束した値は,セルバーグ・ゼータ関数の解析接続による値と本質的に(明示的に書ける例外固有値の寄与と,符号を除いて)一致する.
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Research Products
(4 results)