2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K05185
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小森 靖 立教大学, 理学部, 教授 (80343200)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多重ゼータ関数 / ルート系 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018 年度は, 前年度に行ったリー群に付随する多重ゼータ関数の関係式を記述する母関数の構成について, 論文を作成し投稿した. 具体的には古典ルート型である A,B,C,D 型ルート系の各々の場合において, ランクが 1 つ小さい同じ型の部分ルート系に付随する関数関係式の母関数を全て得ているが, これらのうち B,D と A1 × A1 に関する部分についてまとめた. これで基本理論は一つの区切りを迎えたと感じている. 現在これまでの研究成果をまとめて, 本として出版する予定を立てており, それに向けての作業を始めている段階である. なお, 今後さらなる一般化の考察も同時並行で行っていく予定である. (松本耕二氏 (名古屋大), 津村博文氏 (首都大) との共同研究)
また, 当初の計画にはなかったこととして, 有限多重ゼータ値の母関数についての研究を行った. 近年, 多重ゼータ値を定義する級数を有限で打ち切って有限体上の数列とみなす有限多重ゼータ値の研究が注目を集めている. これらは通常の多重ゼータ値と一対一対応があると予想されており, その値を求めることは大変興味深い. この問題に対し, ファウルハーバーの公式を一般化することで記述する方法を見出し, 値の母関数を構成することに成功した. 特に負の領域では全て 0 になることを証明した. 今後この母関数を調べることによって, 多重ゼータ値に対して新しい知見が得られることが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リー群に付随する多重ゼータ関数に関しては, ほぼ実施計画通り研究を進められたように思う. また, 有限多重ゼータ値に関しては, 当初の計画にはなかったが, 新しい研究対象として非常に有用な研究ができたため, 全体としては十分な成果が得られたと思う.
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Strategy for Future Research Activity |
リー群に付随する多重ゼータ関数に関しては, 引き続き関数関係式や応用についての研究を進めて予定である. また今年度新たに有限多重ゼータ値についての研究成果を得たため, この応用や拡張について考えていく予定である. また最近多重ベルヌーイ数やその類似に関して漸化式を得る一般的な方法を得つつあり, この方向についても研究を深めていく予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は計画より多めに消費したが, 前年度新しい研究に専念したことで生じた旅費減少による繰越金が多少残ることとなった. 次年度はこの繰越金を情報収集のための研究会参加や資料集めに使用する予定である.
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Research Products
(2 results)