2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05186
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 対称性 / モジュラー曲線 / モジュラー多項式 / 完全再生可能関数 / アフィン・リー環 / テータリフト |
Outline of Annual Research Achievements |
1.モジュラー多項式は楕円曲線の理論や虚数乗法論において、重要な役割を果たす2変数の多項式である。モジュラー多項式は、すべての素数に関してHecke型の積対称性を持つことが古くから知られていた。逆に、モジュラー多項式は、2変数の多項式のうち、すべての素数に対する積対称性によって特徴付けられることを、以前のHeim氏との共同研究において、解析的な手法で示していた。2018年度のHeim氏、Kaiser氏との共同研究において、モジュラー多項式が、2変数の多項式のうち、ひとつの素数に対する積対称性によって特徴付けられることを示した。証明には、モジュラー曲線を、その上の特殊点によって特徴づけるAndreの数論幾何的結果を用いる。この結果は、すでに専門雑誌に掲載済みである。 2.「完全再生可能関数」は、ある条件を満たす形式的べき級数としてNortonにより導入されたものであるが、Borcherdsによるモンスター予想の解決において決定的に重要な役割を果たしたように、整数論や有限群論において重要な研究課題となっている。Heim氏との共同研究において、完全再生可能関数を階層付き積対称性を満たす形式的べき級数として特徴づけた。この結果は、専門雑誌に投稿中である。 3.untwisted affine Lie algebraの分母公式と呼ばれる関数は、リー環の理論において重要な役割を果たすが、ベクトル系に付随する無限積として表すことができることがBorcherdsによって示されている。twisted affine Lie algebraの分母公式を、ベクトル系の族に付随する無限積の族の一員として表すことができることをHeim氏との共同研究によって示した。 4.直交群上の保型形式が階層付き和対称性を満たせば、テータリフトから得られることを菅野孝史氏との共同研究において示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標としている直交群上の保型形式の階層付き積対称性への重要なステップである、ヤコビ形式の階層付き積対称性の研究は、twisted affine Lie algebraの分母公式の考察を含め、かなり完成に近づいている。また、直交群上の保型形式の階層付き和対称性とテータリフトの関係についても考察を深めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度に行ったヤコビ形式の階層付き積対称性の研究を踏まえて、直交群上の保型形式の階層付き積対称性について考察を進める予定である。また、直交群上の保型形式の階層付き和対称性とテータリフトの関係についての理論の完成を目指す。
|
Research Products
(4 results)