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2020 Fiscal Year Research-status Report

Study on Fano varieties defined over an algebraically closed field in positive characteristic

Research Project

Project/Area Number 17K05208
Research InstitutionHiroshima City University

Principal Investigator

齋藤 夏雄  広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (70382372)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywords正標数 / 準楕円曲面 / ファノ多様体 / 単純特異点
Outline of Annual Research Achievements

2020年度も,正標数の代数的閉体上定義された代数多様体の特殊な構造について,大域的視点,および局所的視点の双方に立った研究を行った.
大域的視点からの研究として,標数2および3のときにのみ存在することが知られている準楕円曲面を調べた.楕円曲面もしくは準楕円曲面においてその多重標準線形系の多重度をmとするとき,小平次元が1であればmが十分大きいときに線形系が定める写像はファイブレーションに対応する構造射を与える.そのようなmの最小値は楕円曲面および標数3の準楕円曲面ではすでに解決しており,標数2の準楕円曲面の場合のみが未解決問題として残されていた.桂利行氏との共同研究でこの問題に取り組み,m=5では構造射にならないような準楕円曲面を構成することに成功した.これによってm=6が求める最小値であることが導かれ,問題を解決することができた.
このほか,大域的視点からの研究として,単有理準楕円曲面のMordell-Weil群の構造を調べる研究についても着手した.まだ先行研究の吟味などを行っている段階であり,2021年度に研究を引き継ぎたいと考えている.またF分裂性を持つFano多様体の研究にも取り組んだが,いくつか具体例を構成するなどしたものの,目立った進展は得られなかった.
一方,局所的視点からの研究として,前年度に引き続き任意次元の単純特異点の変形空間の研究を行った.すでに標数2の奇数次元および偶数次元それぞれにおいて,determinacyと呼ばれる不変量,および定義方程式の決定はほぼ完成しているが,奇数次元のA,D型,および偶数次元のD型の定義方程式がきわめて煩雑であり,統一的な記述を模索している.本研究は伊藤浩行氏との共同研究であり,現在論文を準備中である.
なお,コロナ禍により,例年のように研究集会やシンポジウムの場で国内外の研究者と議論を交わすことはできなかった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍により,当初予定していた出張や対面での研究打ち合わせが全くできなくなり,研究活動に大きな支障を来した.オンラインでの打ち合わせなどである程度カバーできたものの,やはり実際に顔を合わせて議論できないことは数学の研究においてかなりの痛手であり,研究の停滞を余儀なくされた.また,急遽始まったオンライン授業への対応のために教育業務にも多大な時間を費やす必要があり,研究に向き合う時間を確保するのが難しい状況が続いた.桂利行氏との共同研究をまとめることはできたが,全体としては当初の予定よりやや遅れていると評価せざるを得ない.2021年度もこの状況が継続されることが予想されるので,この環境に合った新しい形の研究スタイルを模索していく必要がある.

Strategy for Future Research Activity

大域的視点からの研究として,2020年度から着手した準楕円曲面の切断に関する研究を進める.標数2の有理準楕円曲面は特異ファイバーの組み合わせが7通りあることが先行研究により判明しているが,これを一般化してよりオイラー標数が高い場合を考え,さまざまな特異ファイバーの組み合わせにおいてMordell-Weil群の構造や切断同士の交わり方について調べる.Mordell-Weil群がなすベクトル空間の部分空間を考えることで,符号理論との関連も見出すことを目指す.
3次元ファノ多様体のF分裂性についても調べる.当該多様体の直線のヒルベルトスキームとF分裂性との間に何らかの関連がないかを考察したい.また次数1のデル・ペッツォ曲面についても引き続き,有理楕円曲面の分類から研究を進めたいと考えている.
一方,局所的視点からの研究として,正標数の単純特異点の変形空間の構造を引き続き調べる.すでにおおよその計算は終わっており,残された部分を完成させて論文としてまとめることを目指す.

Causes of Carryover

2020年度はコロナ禍により,当初出席を予定していた研究集会やシンポジウムが軒並み中止あるいはオンライン形式へ変更となったほか,自らもオンライン形式への対応が求められた教育業務の負担が大きく,計画通りに科研費を使用することが全くと言っていいほどできなかった.本来であれば本年度は本研究課題の最終年度であったが,やむを得ず補助事業期間の延長を申請し,未使用に終わった助成金を2021年度に繰り越すこととした.

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Published: 2021-12-27  

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