2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05215
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石渡 聡 山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非対称ランダム・ウォーク / べき零被覆グラフ / 中心極限定理 / 熱核 / 連結和 / ポアンカレ定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き研究目的にある研究1「ボトルネック構造を持つ多様体上の幾何解析」に基づき、研究協力者のAlexander Grigor'yan 教授、Laurent Saloff-Coste教授とともに有限個の多様体の連結和上の熱核の長時間挙動およびそのスペクトル幾何学的構造の解明の研究を行った。研究成果として、parabolic (ブラウン運動が再帰的)である多様体の連結和上の熱核について critically ordered end condition (COE)という条件のもとで熱核のシャープな評価を得た。更にこれを用いてポアンカレ定数の評価を得た。また、(COE) を満たさない連結和を具体的に構成し、この多様体では従来の結果よりも熱核が大きい値をもつ可能性を指摘した。この結果は論文にまとめ投稿し, Geometric analysis on manifolds with ends, Advances in Analysis and Geometry, 3(2020)に掲載された。研究2「ボトルネック構造の距離空間の幾何による特徴づけ」を目的として、慶應義塾大学の河備浩司教授、および立命館大学の難波龍弥助教とともに、グラフ上の非対称RWの長時間漸近挙動についても進展があった。べき零被覆グラフ上の非対称ランダムウォークについての中心極限定理を示し、極限作用素としてべき零Lie群上のドリフト付きラプラシアンを生成作用素とする熱半群に収束させることができることを示した。この結果は論文としてまとめ、, Electron. J. Probab. 25 (2020)およびPotential Analysis (2020) に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症で出張ができず、議論が遅れている部分があるが、非対称ランダムウォームの長時間漸近挙動についての一定の結果および連結和上の熱核および関連する性質についての新しい知見を明らかにできたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題期間の最終年度として今年度は研究目的の研究1に関するこれまでの研究成果をまとめるかたちで、ボトルネック構造を持つ多様体を熱核の挙動やポアンカレ定数等幾何解析的性質による特徴付けを行う。また、研究2の中心課題である距離空間上の幾何学的視点からこれらの諸結果を考察し、より一般の空間でもこれらの幾何解析的性質を考えることで空間のどのような構造が影響しているのかの抽出を行う。そのために引き続きグラフ上のランダムウォークの長時間挙動についても研究を行う。コロナ感染症蔓延により海外への出張が困難な場合は国内の研究者との研究をメインとしてすすめ、海外の研究者とはオンラインで研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症防止のため、当初計画していた出張(国内、海外)および研究集会が全てキャンセルとなり、計画に大幅な変更が発生した。今年度は後半に出張を計画しているものの、出張不可になる場合に備えてオンラインでも対応できるような情報機器や関連資料の準備にも助成金を活用する。
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Research Products
(6 results)