2020 Fiscal Year Research-status Report
Existence problem of conformally Kahler Einstein-Maxwell metrics
Project/Area Number |
17K05218
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小野 肇 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70467033)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共形ケーラーアインシュタイン・マックスウェル計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Apostolov-Maschlerにより定義された共形ケーラーアインシュタイン・マックスウェル計量(以下cKEM計量と呼ぶ)の存在問題を、従来のケーラー幾何的な手法に加え、佐々木幾何の研究により培った視点に基づき進展させることである。
令和2年度は次の2つの結果を得た(ともに二木昭人氏(清華大学)との共同研究の結果である):1. ケーラー幾何においてYau-Tian-Donaldson 予想(スカラー曲率一定ケーラー計量の存在とK-poly安定性の同値性)の解決は今現在、最大のテーマの1つである。cKEM計量の存在問題においても同様の予想がなされている。トーリック多様体においてはApostolov-MaschlerによりcKEM版のK-poly安定性概念が提唱されており、特別な場合(複素2次元でベッチ数が2の場合)にこの予想は解決されている。しかしながら、K-poly安定性の判定は一般に容易ではなく、「使いやすい判定法」を得ることは大変重要である。我々は複素2次元の場合に「使いやすい判定法」を与えることに成功し、実際、我々が以前に与えたcKEM二木不変量が消えるようなトーリック曲面はcKEM版K-poly安定であることを数値計算により確かめることができた。(後にde Souzaにより厳密に証明された。)2. 令和元年度我々はcKEM計量の存在に関する松島-Lichnerowicz-Calabi型の定理を証明した。その際に用いた手法は汎用性があり、他の問題に適用可能である。我々はその一例として、変形量子化におけるFedosov star積の閉性に関する次の必要条件を得た:非負リッチ曲率を持つコンパクトケーラー多様体のLevi-Civita接続から得られるFedosov star 積が閉であるとき、reduced 自己同型群は簡約群である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、本年度は主に、「トーリック多様体において、cKEM版K-安定性とcKEM計量の存在の関係を解明する」と「cKEM版二木不変量を通して佐々木幾何と共形幾何の間の新たな関連を探る」が目標であった。本年度は前者の問題(複素2次元の場合)において、K-安定性のチェック法を確立すること(当初の計画では令和3年度に研究を予定していた)ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、令和2年度に解決できなかった課題(佐々木幾何と共形幾何の間の新たな関連の解明)に引き続き取り組む予定である。また、最終年度であることから、このプロジェクトで得られた結果を取りまとめ、成果の発表、および新たな問題の提起なども積極的に行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウイルスにより出張が全くできなかったため当該研究費が生じた。 次年度はパソコンおよび書籍を多く購入する予定である。
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