2017 Fiscal Year Research-status Report
曲面上の錐状特異点付きユークリッド構造のモジュライ空間の幾何とトポロジー
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17K05225
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
高山 晴子 城西大学, 理学部, 准教授 (90274430)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 錐状特異点 / ユークリッド構造 / 多角形 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲面の錐状特異点付きユークリッド構造とは、曲面の有限個の点をのぞいて局所的にユークリッド平面と等長的であり、有限個の点のまわりはユークリッド的錐状であるような幾何構造である。これらの錐の個数と角度はガウスボンネの条件による関係式を満たす限り任意に指定できるが、Troyaovの結果により錐の個数と角度の各データに対して、それらを実divisorとする曲面上の等角構造が相似を除いて一意的に存在することが知られている。曲面の等角構造と複素構造は同値なので、点付きリーマン面のモジュライ空間は、錐状特異点付きユークリッド構造のモジュライ空間とも同一視することができる。点付きリーマン球面の場合に曲面の錐状特異点付きユークリッド構造と見なして、面積形式による幾何構造を導入したのはThurstonである。曲面の種数が正の場合への一般化は完全にはなされていない。 当該研究はこの一般化を目指しており、今年度は、曲面の錐状特異点付きユークリッド構造のモジュライ空間に関し、外角データを与えられた多角形の相似類全体がなすモジュライ空間の面積による2次形式が与える幾何構造および、その完備化の位相型、滑層分解の組み合わせ構造について研究を行った。特に、外角データ空間の単体を超平面によって分割して得られる各セルに対応するモジュライ空間の組み合わせ構造のHasse図による記述およびコンピュータ計算プログラムGAPによる各モジュライ空間のホモロジーを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多角形のモジュライ空間の外角データによる組み合わせ構造の記述を得たことで、曲面の錐状特異点付きユークリッド構造のモジュライ空間の面積形式が誘導する幾何構造の錐状特異点の錐角データによる幾何構造の変化の記述が可能となるため。
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Strategy for Future Research Activity |
曲面の錐状特異点付きユークリッド構造のモジュライ空間の面積形式が与える幾何構造、曲面の錐状特異点付きユークリッド構造のモジュライ空間のコンパクト化の滑層分解の組み合わせ構造に関して、特に写像類群の作用で不変な滑層分解の構成の研究を行い、近年のFillastre-Seppiによる閉曲面上の測地的グラフに関するWolpertの公式の一般化との関係を考察する。
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Causes of Carryover |
予定していたパーソナルコンピュータの購入を見送ったためであり、次年度に購入を予定。
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