2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on Saito structure for complex reflection groups
Project/Area Number |
17K05228
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
三鍋 聡司 東京電機大学, 工学部, 准教授 (30455688)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 複素鏡映群 / 平坦不変式 |
Outline of Annual Research Achievements |
複素線形空間の有限自己同型群で、鏡映によって生成されるものを有限複素鏡映群と呼ぶ。有限複素鏡映群の軌道空間(不変式環を関数環とするアフィン多様体)上の斎藤構造と呼ばれるある種の平坦構造が本課題研究の主要な研究対象である。今年度は、近年佐竹氏によって導入された、鏡映群の不変式の平坦生成系を特徴付ける「良い生成系の条件」という視点を取り入れて、不変式論的観点から研究全体の見直しを行った。複素鏡映群の軌道空間上には、加藤・眞野・関口によって構成された自然な斎藤構造と呼ばれる平坦構造が存在し、それに関する平坦座標系が複素鏡映群の不変式環における平坦生成系という特別な生成系になることが知られている。有限実鏡映群(有限コクセター群)の場合は、佐竹氏の導入した良い生成系は、この平坦生成系と一致することが佐竹氏によって示されていた。これと同じことが複素鏡映群についても成り立つかどうかを研究した。結果としては、有限実鏡映群(有限コクセター群)の場合と同様のことが複素鏡映群に対しても成り立つ。すなわち、佐竹の意味での良い生成系は、複素鏡映群に付随する自然な斎藤構造の平坦座標系を与える。良い生成系の条件は、不変式を実際に計算するときにも役立つ条件であり、平坦座標系を定義通りに接続行列を用いて計算するよりも実効的な計算方法を与えてくれる。これは良い生成系を考える利点の一つである。この方法を用いて良い生成系(平坦不変式)の計算を行い、以前計算した平坦不変式と一致することを多くの具体例で確認した。以上の結果については、現在論文を準備中である(小西氏、佐竹氏との共同研究)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展に伴って現れる諸課題を、関連する新しい研究成果を取り入れながら、解決に向けて研究を進めることができていると自己評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
斎藤構造の概双対性と良い生成系の条件との関連を明らかにする。また、シェファード群と呼ばれる複素鏡映群の中に、自然な斎藤構造とは異なるフロベニウス構造を持つ群が存在するので、その不変式環の平坦生成系を特徴付ける「良い生成条件」を発見する。さらに、鏡映群の線系を用いた概双対構造の記述を用いて、軌道空間上の判別式因子上の極限の存在を調べる。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予算が計画通りに執行できなかった。旅費の使用は難しい状況が続くと思われるため、物品費、人件費・謝金、その他の項目で使用する予定である。
|