2017 Fiscal Year Research-status Report
The asymptotic behavior of the Reidemeister torsion for degenerate hyperbolic structures
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17K05240
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山口 祥司 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30534044)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 双曲構造 / 位相不変量 / 幾何学構造 / ザイフェルト多様体 / ライデマイスタートーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究では双曲構造の退化に関わる高次元ライデマイスタートーションの漸近挙動について考察を進め、得られた研究成果を学会発表および学術論文によって公表した。平成28年度までに結び目の例外手術と呼ばれる操作に着目してライデマイスタートーションの漸近挙動の考察を行なってきた。多くの三次元球面内の結び目(埋め込まれた円周)に対して、三次元球面内の結び目の外部空間(の内部)は双曲多様体になることが知られている。結び目の例外手術とは、結び目の外部空間に結び目の近傍を貼り直すことで非双曲三次元多様体を構成する操作である。例外手術を許容する結び目の外部空間は双曲構造の変形の過程に退化した双曲構造(非双曲多様体の一部になること)を持つことを示唆している。 例外手術に対応する退化した双曲構造は基本群からリー群SL(2,C)への準同型写像を通じて考察することが可能である。平成28年度までに得られた結び目の例外手術に関する成果において、退化した双曲構造を表す基本群の準同型はみな同様の条件をみたしていた。これらの退化した双曲構造を表す基本群の準同型がみたす条件は平成28年度までの考察対象に固有の条件ではなく、広範な結び目の外部空間に対して成立する条件である。そこで退化した双曲構造を表す基本群の準同型の条件に着目してライデマイスタートーションの漸近挙動を考察し、平成28年度までに観察していた現象と同様の現象が広範な結び目に対して成立することを明らかにできた。さらに平成29年度の考察は高次元ライデマイスタートーションの具体的な計算にも応用でき、平成28年度までの計算結果を含む新たな計算例を与えている。 研究成果の公表については日本数学会の一般講演で発表し、結果をまとめた論文を学術雑誌から出版している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
退化した双曲構造に関わる高次元ライデマイスタートーションの漸近挙動について考察を進め、平成28年度までの成果を広範な範囲に拡張する研究成果を公表することができた。当初の実施計画では、ザイフェルト多様体についてゼータ関数とライデマイスタートーションの関係に対して考察を進める計画であったが、ライデマイスタートーションとゼータ関数に関する先行研究および基礎理論の調査にとどまった。平成28年度までの成果の拡張に取り組んだために高次元ライデマイスタートーションとゼータ関数の関係に関する考察においては平成29年度の計画目標まで研究が進んでいない。しかしながら、平成28年度までの成果の拡張は高次元ライデマイスタートーションの漸近挙動の具体的な計算を行う新たな手法を含んでいるため、今度の研究を推進していく上で有益であると考えられる。以上から実施計画の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ザイフェルト多様体に対する高次元ライデマイスタートーションの漸近挙動をゼータ関数を通じて考察する。継続中の高次元ライデマイスタートーションのゼータ関数表示について考察を進め、ザイフェルト多様体の高次元ライデマイスタートーションの漸近挙動をゼータ関数を通じて記述することを試みる。平成29年度に得られた高次元ライデマイスタートーションの漸近挙動を具体的に計算する手法は高次元ライデマイスタートーションを多項式不変量の値として記述する方法に基づいている。高次元ライデマイスタートーションを関数の値として記述する手法は、ザイフェルト多様体の高次元ライデマイスタートーションをゼータ関数を利用して表示する際に参考になると期待できる。高次元ライデマイスタートーションのゼータ関数表示の考察に平成29年度の研究成果を活用して実施計画を推進していく。 また、不変量を関数の値として記述する方法や理論について、三次元多様体・結び目理論を研究している専門家と意見交換を行い、高次元ライデマイスタートーションのゼータ関数表示についての研究を推進していく。
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Research Products
(6 results)