2021 Fiscal Year Research-status Report
カンドルを用いた曲面結び目不変量の幾何的意味の解明とその応用
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17K05242
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
田中 心 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70448950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低次元トポロジー / 曲面結び目 / カンドル / 結び目 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021(R03)年度は、Galkinカンドルの一般化について、共同研究者である石川勝巳(京都大学)氏とオンラインで議論を重ねた。GalkinカンドルはZ/3Zとアーベル群の直積に入るカンドル構造の事であるが、定義の幾何的意味は分かっていない状況であった。石川氏はそのカンドル構造の幾何的意味を明らかにすることで、その構成自体を一般化することに成功した。そこで、具体的な結び目に対して、Galkinカンドルの一般化を用いて定まる結び目不変量を計算し、その振る舞いを観察した。まだ、発表できるような成果には到達していないが、興味深い考察がいくつか得られている。2022(R04)年度も引き続き研究を進めていく。
また、結び目彩色多項式と1-タングルのカンドル彩色不変量の関係をさらに調べた。結び目彩色多項式とは2007年にEisermannによって導入された有向結び目不変量であり結び目群から有限群への表現を用いて定義される。1-タングルのカンドル彩色不変量とは2017年にClark-Dunning-Saitoらによって導入された有向結び目不変量であり1-タングルの結び目カンドルから有限カンドルへの表現を用いて定義される。両者は共に「カンドル2-コサイクル不変量」と呼ばれる有向結び目不変量の一般化であることが知られており、両者の間の関係性を考察することには意義がある。得られた成果を2021年6月に行われた「N-KOOKセミナー」に於ける招待講演者として、「結び目彩色多項式と1-タングルのカンドル彩色不変量について」という題目で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、研究成果が着実に出ていることを考慮し、「おおむね順調に進展している」と自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
Galkinカンドルの一般化について新たな知見が得られつつあるのでしばらくはその方向で研究をつづける。関連する(オンライン)研究集会やセミナーなどに参加し、自身の研究に生かす。また研究成果を発表し、関連分野の研究者からのフィードバックを得て、成果の改良や新たな方向性を模索する。
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Causes of Carryover |
COVID-19によりキャンセルした出張があったために、旅費の支出が予定を下回ってしまったことが主な理由である。2022(R04)年度は、(COVID-19の流行状況に依存するが)より活動的に研究し、学会出張や研究者招聘など当該研究推進のために使用する。
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Research Products
(2 results)