2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05247
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森吉 仁志 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (00239708)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 指数定理 / 非可換幾何 / 葉層多様体 / K理論 / 巡回コホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「非可換幾何学の枠組による指数定理の拡張」および「葉層多様体や微分同相群が関与する指数定理の展開」を目標とし,指数定理の一般化と微分位相幾何への応用を目指している.本年度は,完備リーマン多様体から定まる Roe algebra というC*環を詳しく研究した.葉層多様体に含まれる一枚の葉は完備リーマン多様体となり, 葉層C*環を葉に制限して得られるC*環は Roe algebra は密接な関係を持つ.従ってこのような対象を調べることは,葉層多様体上の指数定理の研究に大いに資する.ここで一般にC*環が与えられたとき,コンパクト作用素全体による拡大(短完全列)の全体からC*環K ホモロジー群が定義される.一方 Callias により,ユークリッド空間上で定義されたディラック作用素対して,これが無限遠で可逆であるときに成立する指数定理が証明されている.今年度は,この Callias 指数定理と,Roe algebra のコンパクト作用素による拡大(K ホモロジー群の元を与える)との関係を明らかにした.さらに葉層多様体の葉として得られる完備リーマン多様体に対しても,同様の関係が成立つことを見出した..一方で,作用素を離散化あるいは有限次元近似したときに定義されるGinsparg-Wilson 指数との関連性に関する研究が進展し,当初は予期しなかった指数定理の離散化あるいは有限次元近似との関連性を研究中である.これに関連する成果を,幾何学阿蘇研究集会,2017年9月26日-27日,で講演した.またシンプレクティック幾何における二次不変量と考えられるカラビ不変量と,単位円周の微分同相群の中心拡大との関係について,葉層構造の幾何学とその応用,2017年12月16日において講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は予備段階を進み,展開部門の基点となる葉層多様体・微分同相群に関する基礎知識の充足を図ることを目指した.関連する研究集会へ積極的に参加し,必要分野の専門家と個別の研究連絡を行う点ついては,満足する進捗が得られた.一方で,作用素を離散化あるいは有限次元近似したときに定義されるGinsparg-Wilson 指数との関連性に関する研究が進展し,当初は予期しなかった指数定理の離散化あるいは有限次元近似との関連性を研究中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,昨年度充足した基礎知識を基盤として本段階に進み,「指数定理の導出」および「具体例への適用」をという研究目的に取り組む.とくに Ginsparg-Wilson 指数との関連性に関する研究が進展しているので,非可換幾何の視点から,Ginsparg-Wilson 指数が関与する指数定理の一般化に取り組む.
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