2018 Fiscal Year Research-status Report
Algebraic topology of quandles, and its application to low dimensional topology
Project/Area Number |
17K05257
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野坂 武史 東京工業大学, 理学院, 准教授 (00646903)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 幾何学 / トポロジー / 結び目 / カンドル / べき零 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、3次元多様体と結び目に関するべき零的な研究を行った。特に、相対基本ホモロジー3類に関するOrr不変量に関してと、結び目群の2階べき零商についての中心性に関して成果を得られた。他方で、カンドル多様体と、その有理コホモロジー理論についても成果を得た。それらの成果を論文として発表した。今年度の補助金は、主に本研究を遂行するため文献購入費と出張費に当てられた。この三つの主な研究実績について以下簡単に述べる。
(1)Orr不変量を3つの視点から考察し、Kontsevich不変量とMilnor不変量との関連性を調べた。実際、その関連性は厳密な公式で結びつけることができ、これら3つの不変量の等価性を明示する結果を得ることができた。特にMilnor不変量からOrr不変量を計算する方法を発見できた。 (2) 結び目群の2階べき零商の中心について、非自明性を示し、その中心の階数を決定する事ができた。さらに研究を進め、その中心に値を持つような結び目の位相的不変量を構成する事ができた。その際に、計算機を用いて計算例を幾つか与え、Blanchfield双対と比較を行った。 (3) カンドルが有限集合の場合、そのコホモロジーはよく研究されている。この研究では、カンドルXが多様体である場合に、deRahm理論を経由して有理コホモロジーを研究した。Xが簡単な場合(例えば球面など)にそのコホモロジーを幾らか決定した。また離散的コホモロジーについても言及し、非自明なコサイクルなどを発見できた。また2次特性類からカンドルコサイクルを導く方法も提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の三つの成果に呼応し、自己評価を順に述べる。 (1) まず、Orr不変量に関しては、申請書の計画の方針に基づき、予想通りの結果を得ることが出来た。さらに、Orr不変量とKontsevich不変量(のtree部分)との関係性が示せたことは、予想以上の進展であった。その関係性はある種の等価性を明示しているため、計画を完結した結果と判断できる。 (2) 他方で、べき零的研究の始めのステップとして、2階べき零商から研究を開始したが、その際に、群の中心性について、非自明で興味深い結果を得られたことは予想以上の結果であった。しかしまだ未解明な点がおおく(例えば高階のべき零商や、定量的な計算手方法)、当研究を継続する予定である。 (3) 最後に、カンドル多様体と、その有理コホモロジー理論については計画の通りに結果を部分的に得ることが出来た。但し、2次特性類との関連性については枠組みが大まかであるため、その具体的記述と例示については今後の課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の様に、30年度の予定にあった内容は、ほぼ満足する結果を得ることが出来た。31年度では、この研究で調べた結果を、31年度の計画「可解被覆に関するペアリング」への研究を深める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、カンドル多様体の研究に一定のめどが生じた為、予定であった必要な図書の購入など取り止めた。 しかし、来年度にはべき零的な研究を深めるため、使用計画として、予定通り、他の図書を(物品費として)購入する予定である。
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