2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05259
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金信 泰造 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00152819)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 結び目 / リボン結び目 / 結び目群 / 対称和 / Jones多項式 / Q多項式 / HOMFLYPT多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 4次元球面内の2次元球面の埋め込みである2次元結び目の特殊なクラスである2次元リボン結び目,とくに,フュージョン数が1のリボン結び目の分類の研究をおこなった.高橋功多はこのクラスにおいて,2組の同型な結び目群をもつ2次元リボン結び目を発見している.これらは,ねじれAlexander多項式では分類不可能で,4次元球面の3重巡回分岐被覆空間の基本群,または,トレース集合によって分類した.今回は,これらの組みを一般化した例を無限個構成した.分類等に関して現在,研究中である. (2) 2次元リボン結び目の3次元空間の切り口となる1次元リボン結び目の研究をおこなった.とくに多項式不変量による分類の研究をおこなった.金信は1984年にJones多項式,および,HOMFLYPT多項式が同じ無限個の1次元結び目族を構成した.これらの結び目は樹下・寺坂による対称和とよばれる構成法で得られる1次元リボン結び目でもある.Christoph Lamm はすべての1次元リボン結び目が対称和のかたちで描けるか,という問題を提出し,12交点以下の1次元リボン結び目を対称和のかたちにすることを試みた論文を発表している.それには多くの対称和で表された1次元リボン結び目の族があげられている.上記の金信が構成した無限族も含まれる.今回の研究では,これらの無限族の1つに注目してその多項式不変量による分類を研究した.それにより,Brandt, Lickorish, Millett, Ho が定義した向きの付いていない結び目の不変量である Q多項式が同じ無限族を発見した.すでにQ多項式が自明な素な結び目の無限族は宮澤康行が発見している.これらはJones多項式で分類されている.この例では,Jones多項式,HONFLYPT多項式も同じでKauffman多項式により分類される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当研究の当初の研究課題は結び目,絡み目の局所変形であった.具体的には以下の3種類の局所変形の研究である.(1)整合的バンド手術.(2)結び目の非整合的バンド手術であるH(2)移動.(3)交差交換.それぞれの局所変形により与えられた2つの結び目,絡み目は移りあうことが知られている.そのときのそれぞれの局所変形の最小回数を結び目,絡み目の間の『距離』と定義して,小さい交点数の結び目,絡み目の間の距離を求めることが具体的な問題となる.2020年度は,これらの研究よりも,リボン結び目の分類問題に取り組む時間が多くなり,局所変形に対しては特段の研究成果が得られなかった.それに代わって,2次元リボン結び目の分類問題,その3次元空間における切り口である1次元リボン結び目の分類に関する研究成果は得られたが,当初の計画より遅れたとするのは仕方ない.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までにおこなう予定であった部分について再度研究を進めていくことにしたい.10交点までの結び目に関して,素な結び目についてH(2)結び目解消数を求めたが,合成結び目についてもH(2)結び目解消数を求めることにより,10交点までの結び目のH(2)結び目解消数の表を作成して論文として発表したい.10交点までの結び目に対して,Darcy(1997年),Moon(2010年)が結び目の交差交換距離の表を発表しているが,この表の改良を試みたい.すなわち,Darcy,Moon以降に,Alexander多項式,あるいは,その他の多項式不変量の特殊値を用いた交差交換距離の下からの評価が,いくつか開発されているが,それらを適用することにより,この表を見直していきたいと考える.また,2019年度にはじめた2次元リボン結び目の分類問題や2次元リボン結び目のねじれAlexander多項式の研究,2020年度にはじめた1次元リボン結び目の多項式不変量による分類問題の研究もさらに進めたい.さらに,高分子のトポロジーへの応用が期待される空間グラフの位相不変量,とくに,多項式不変量について,あらたに研究を開始したいと考えている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのため研究集会の多くが遠隔開催となった.次年度は,研究協力者,関連する研究をおこなっている大学院生も含め,可能な限り研究会等に出席する予定である.また,コンピュータ等の情報機器の整備もおこないたいと考えているので,その費用が必要となる.
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Research Products
(7 results)