2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05259
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
金信 泰造 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00152819)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 結び目 / 4移動 / HOMFLYPT多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
結び目の局所変形の一つである4移動について滝岡英雄(金沢大学)との共同研究で結果を得ることができた.2018年度(平成30年度)の研究の継続発展である.結び目,絡み目の4移動とは,図式において連続する4回の半ひねりの部分をなくす,あるいは逆に,平行な2本に4回の半ひねりを入れる局所変形である.1979年に中西康剛が,全ての結び目が4移動を何回かおこなうことで解けるかという問題(4移動予想)を提出したが現在も未解決である.いくつかの結び目族については予想が正しいことが知られている.2つの結び目に対して,一方に4移動を何回かおこなって他方に変形できたとき,その回数の最小数を4移動距離とよぶ.特にある結び目に対して,自明な結び目との4移動距離を4移動結び目解消数という.前回の研究では,2つの結び目が1回の4移動で移り合ったときに,それらの結び目の不変量の変化について研究した.さらに,これを適用することにより,9交点までの結び目の4移動結び目解消数の表を作成した.今年度の研究では,7交点までの結び目(鏡像,合成も含めて32個)の間の4移動距離を決定することを目標において,4移動による様々な結び目不変量の変化を調べることにより,4移動距離を評価するためのさらなる新しい方法をいくつか考案した.特にHOMFLYPT多項式の特殊値の利用により顕著に成功した場合があった.また,これらの方法により,前回の研究で作成した9交点までの結び目の4移動結び目解消数の表を改良することにも成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究の当初の研究課題は結び目,絡み目の局所変形であった.具体的には以下の3種類の局所変形の研究である.(1)整合的バンド手術.(2)結び目の非整 合的バンド手術であるH(2)移動.(3)交差交換.それぞれの局所変形により与えられた2つの結び目,絡み目は移りあうことが知られている.
2022年度の研究では主に4移動の研究をおこなった.4移動は当初の課題の局所変形には含まれないが,4移動はH(2)移動や交差交換により実現されるので,課題から外れているわけではない.しかしながら,高分子へのトポロジーの応用という面から見ると格段に優れているとは言い難い.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度までにおこなう予定であった部分について再度研究を進めていくことにしたい.10交点までの結び目に関して,素な結び目についてH(2)結び目解消数の表の作成を始めたが,合成結び目についてもH(2)結び目解消数を調べることにより,10交点までの結び目のH(2)結び目解消数の表を作成して論文として発表したい.Darcy(1997年),Moon(2010年)は,8交点までの結び目と9交点,10交点の2本橋結び目と2本橋結び目の合成に対して,交差交換距離の表を発表しているが,この表の改良を試みたい.すなわち,Darcy,Moon以降に,Alexander多項式,あるいは,その他の多項式不変量の特殊値を用いた交差交換距離の下からの評価が,いくつか開発されているが,それらを適用することにより,この表を改良していきたいと考える.さらに,高分子のトポロジーへの応用が期待される空間グラフの位相不変量,とくに,多項式不変量について,あらたに研究を開始したいと考えている.
バンド手術と関連して,2019年度からはじめた2次元リボン結び目の分類問題や2次元リボン結び目のねじれAlexander多項式の研究,2020年度にはじめた1次元リボン結び目の多項式不変量による分類問題の研究も進めたい.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響のため研究集会や学会への出張が少なかった.次年度は,新型コロナウイルス感染症が終息し始めることが予想されており,研究集会が以前のように開催されそうである.それらに可能な限り出席する予定である.
|
Research Products
(4 results)