円周への無限離散群の作用の剛性と柔軟性

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K05260
• Research Institution: Aoyama Gakuin University
• Principal Investigator: 松田 能文 青山学院大学, 理工学部, 助教 (60549294)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 円周への群作用 / 群作用の力学系 / 回転数 / 有界オイラー数 / 円的順序

Outline of Annual Research Achievements

今年度はモジュラー群PSL(2;Z) など２つの有限巡回群の自由積について、円周への作用の剛性と柔軟性について考察した。特に、フックス作用の剛的な持ち上げについて考察した。フックス作用の持ち上げの大部分については、回転数に関する既知の結果を用いることにより、標準的な生成元の積の回転数を変化させる変形が可能であり、特に剛的でないこと、を確かめた。ただ、ここで現れなかった持ち上げが剛的であるかどうか、さらには、剛的な作用はフックス作用の持ち上げに限るかどうか、などの問題は来年度以降の課題として残されている。
また、群上の円的順序(circular order)についても考察した。可算群上の円的順序はその群の円周への作用と対応しており、特に孤立円的順序に対応する作用は強い意味での局所剛性を持つことが知られている。これまでに, モジュラー群についていくつかのフックス作用の持ち上げに孤立円的順序が対応していることが知られていた。今年度になり、モジュラー群上に新しい孤立円的順序が存在することが報告された。この結果は、モジュラー群の円周への剛的な作用がフックス作用の持ち上げ以外に存在するか、という問題に関係していると考えられる。そこで。得られた孤立円的順序に対応する作用に関するいくつかの元の回転数などの力学系的情報について考察した。さらに、一般の２つの有限巡回群の自由積上に新しい孤立円的順序が存在するか、などについても考察した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

２つの有限巡回群の自由積について、フックス作用の剛的な持ち上げが決定できなかったため。

Strategy for Future Research Activity

２つの有限巡回群の自由積は一般の境界つき２次元軌道体群の基本的な場合と考えられるので、残された課題を中心に引き続き考察していく。

Causes of Carryover

購入予定だったパソコンの購入を見送ったため次年度使用額が生じた。
研究集会等に出席するための旅費や研究の参考となる書籍等の購入に使用する。