2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05260
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松田 能文 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (60549294)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 円周への群作用 / 剛性 / フックス群 / 回転数 / 有界オイラー数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の二つの話題について研究を行った。 (1)曲面群の円周への作用に付随する懸垂束を用いた作用の剛性の研究(足立真訓氏・野澤啓氏との共同研究) 閉曲面の基本群の円周への作用に対して、オイラー数と呼ばれる整数値の不変量が定義される。このオイラー数についてはMilnor-Woodの不等式と呼ばれる制約条件が成り立つ。さらに、Milnor-Woodの不等式で等号が成り立つ作用はフックス作用と半共役であるという松元の剛性定理が成り立つ。Burger-Iozzi-Wienhardは、閉曲面の基本群の円周への作用に対して、有界オイラー数と呼ばれる実数値不変量を定義し、Milnor-Woodの不等式と松元の剛性定理を拡張した。 この研究では、曲面群の円周への作用に付随する懸垂束の平坦接続を葉層調和測度で平均化して得られる主接続について、曲率評価とGauss-Bonnet型公式を得た。その帰結として松元・Burger-Iozzi-Wienhardの剛性定理の別証明を与えた。 (2)巡回群の自由積の円周への作用の剛性と柔軟性について これまに引き続き、モジュラー群PSL(2;Z) に関する結果の一般化を目指して2つの有限巡回群の自由積を中心に考察した。特に、フックス作用の持ち上げがいつ剛性を持つかについての考察を引き続き行った。ジェンキンスとノイマンによる円周の同相写像の回転数が同相写像を合成したときにどう振る舞うかについての結果を用いて、フックス作用の持ち上げのうち剛性を持つものの候補たちが得られていた。これらの候補のうち実際に剛性を持つものを決定するために、作用に付随する円周のマルコフ的な分割を系統立てて構成する方法を引き続き考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つの有限巡回群の自由積たちのうち、フックス作用の持ち上げの剛性が決定できていなものが依然として残されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの有限巡回群の自由積のフックス作用の剛的持ち上げの決定を引き続き最優先として、関連する問題と合わせて取り組む。 また、懸垂束を用いた剛性の研究の2次元軌道体群の作用への拡張について研究する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により参加予定の研究集会のいくつかがオンライン開催となったため。 新型コロナウイルス感染症の影響などにもよるが研究集会に参加するための旅費などに充てる。
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