2023 Fiscal Year Research-status Report
多重分岐曲面の3次元多様体への埋め込み(グラフ理論と3次元多様体論の融合)
Project/Area Number |
17K05262
|
Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
小沢 誠 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (50308160)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 臨界的複体 / 禁止複体 / 埋め込み / 3次元球面 / クラトフスキーの定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度にメキシコ国立自治大学で共同研究をした内容を論文にまとめることに費やした。実際に執筆する際に、議論が甘いところがあり、そこを埋める為に半年ほどかかった。完成した論文「Forbidden complexes for the 3-sphere」はarXiv (https://arxiv.org/abs/2403.18279)に投稿し、現在ジャーナルに投稿中である。 この論文の主要な内容について述べる。単体的複体Xが単体的複体Yに関して臨界的であるとは、XがYに埋め込み不可能であり、Xの任意の点pについて、X-pがYに埋め込み可能であるときをいう。Γ(Y)をYに臨界的な単体的複体から成る集合とする。この研究の主要な目的は、n次元閉多様体YについてΓ(Y)を決定することである。 まず、Γ(S^1)=φであり、Γ(S^2)={K_5,K_{3,3}}であることが分かった。更に、F_gを種数gの向き付け可能閉曲面とし、Ω(F_g)をF_gに関する禁止グラフから成る集合とするとき、Γ(F_g)={F_0, ... , F_{g-1}} ∪ Ω(F_g)が成り立つことを示した。次の研究対象は、Γ(S^3)である。Γ(S^3)については、未決定であるが、2次元パートがグラフとS^1との直積であるような2次元単体的複体について、決定することができた。 この臨界的という定義は、ある意味で不完全である。そこで、単体的複体から成る集合Cについて、X, Y∈Cが同値であるとは、XがYに埋め込み可能であり、YがXに埋め込み可能であると定義する。この同値関係の下、臨界的の定義を改めると、完全となる。例えば、K_5上の錐CK_5について、[CK_5]は臨界的となる。一般に、XがS^3に埋め込み不可能ならば、Xの部分複体X'が存在して、[X']がS^3に関して臨界的であることを示せた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年3月末にarXivに論文を投稿し、4月中旬にはジャーナルに投稿した。現在クイックレポートが届いたので、その対応中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後については、現在投稿中の論文をアクセプトまで持っていきたい。 また、論文中ではできなかった定理の一般化を研究目標としたい。
|
Causes of Carryover |
海外の研究集会への参加がなく、旅費・宿泊費の支出がなかった為。
|