2019 Fiscal Year Research-status Report
Algebra of measured groupoids
Project/Area Number |
17K05268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木田 良才 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90451517)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軌道同値関係 / 測度付き亜群 / 内部従順性 / 中心列 |
Outline of Annual Research Achievements |
群作用の軌道同値関係をはじめとする測度付き同値関係は、元々はフォンノイマン環の研究の中で生まれた対象であるが、近年では離散群論と絡んだ研究も盛んである。中でも、可算離散群Gによる確率測度空間への自由作用で測度を保つものに対し、それからできる軌道同値関係と群Gとの関係を問う研究が盛んである。群の従順性に関する研究が歴史的に有名であるが、最近の私の研究では、従順性を弱めた性質である内部従順性をテーマに研究を進めている。内部従順性とは、中心列の存在を関数解析的に定式化した性質であり、フォンノイマン環や同値関係の中心列との関連について古くからの研究が見られる。1980年代、Klaus Schmidtは次の問題を問うた:すべての内部従順群Gは、軌道同値関係が中心列をもつような作用をもつか?この問題は未解決であり、最近の研究はこの問題の解決に向けたものが多い。
可算離散群GがSchmidtの問題で要求している作用をもつとき、Gはシュミット性をもつという。このシュミット性が群のどのような操作の下で保たれるかを具体的な問題として設定し、研究している。今年度はまず、中心群が有限であるような中心拡大について考察した。より一般に、同値関係の2-コサイクルに付随する中心拡大の下で、同値関係のシュミット性(つまり、非自明な中心列が存在するという性質)が保たれるかについても考察した。他に関連する問題として、同値関係のシュミット性と充足群の位相的性質についての関連がよく知られているが、これを測度付き亜群に対する主張に拡張した。この結果は、未知の部分が多い内部従順性やシュミット性の研究に貢献するものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中心拡大の下でのシュミット性に関する問題は、現在、作用の超積による解決を目指しているところであり、今年度中に解決したいと考えている。一方、測度付き亜群のシュミット性と充足群の位相的性質の関連については、すでに論文として公表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から引き続き、可算集合への従順作用から構成されるリース積群がシュミット性をもつかどうかについて考察しているが、進展が見られない。作用の超積をはじめとする超越的な手法を用いた、作用の構成法を探りたい。
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Causes of Carryover |
所属大学における教育等の業務により、情報収集のための出張の機会を得ることが当初の予定よりも難しくなったため。次年度使用額は、出張旅費もしくはオンライン集会に参加するための機器の購入に充てる。
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Research Products
(4 results)